芸能

紅白歌合戦“ドラマチック歌姫”の60年史!【<72年第23回>「どうにもとまらない」山本リンダ】

20151210k

 間もなくデビュー50周年を迎える山本リンダ(64)は、これまで3次にわたる「リンダブーム」を巻き起こした。さらに、それぞれのブームで紅白に出場した奇跡の持ち主だ。

 中途半端じゃダメなんです。それまでのイメージを全部、ぶち壊すくらいの勢いで、一切の笑顔も見せないで歌おう──。

 それが「どうにもとまらない」(72年)に賭けた思いでした。この曲がダメなら、歌手としてはやっていけないだろうと覚悟していました。

──

 66年に「こまっちゃうナ」でデビューしたリンダは、同曲の大ヒットで翌67年の紅白に16歳で初出場。舌っ足らずのアイドル的な歌手として最初のブームを起こした。

──

 初めて紅白に出た時は、他の人のリハーサルを客席で見ていて、この舞台に喜びの涙も悲しみの涙もしみついているんだなと思ったんです。そのくらい芸能界は厳しい世界で、私も翌年に早くも落選して、そのことを実感しました‥‥。

 ただ、初出場はとても楽しかった記憶があります。舞台袖ではドキドキしながら待っていたけど、イントロが鳴ったらそこに楽しさが加わりましたね。

 2度目の出場までは5年のブランクがありましたが、あの「どうにもとまらない」はレコード会社をキャニオンに移籍しての第2弾。しかも同系列のフジテレビがプロジェクトチームを組んで売り出すという珍しい形でした。

 作詞は阿久悠先生、作曲は都倉俊一先生で、阿久先生は「恋のカーニバル」というタイトルをつけていたんです。ところが、サビのフレーズにこだわったプロデューサーが「どうにもとまらない」に変更。阿久先生は「ああ、そういう線か!」と納得していらっしゃいました。

 この曲では「こまっちゃうナ」のイメージを全て変えるため、歌唱法もワイルドにして、衣装も日本で初めて「ヘソ出し」に取り組みました。

 私も低迷期が長かったから、レコードを売るというのがいかに大変かを知っています。この曲のためにレコード会社の人たちが寝ないでキャンペーンしてくれて、そして大ヒットしたのはとてもうれしかった。

 ただ、ヘソ出しの衣装が引っ掛かったのはNHKの歌番組。いつもはパンタロンにヘソの上で結んだ赤いブラウスですが、さすがにそれでは出られない。1度、ヘソ上まであるパンタロンを着ましたが、それだと曲の感じが出ない。

 そこで作戦を立てました。ブラウスをいつもより下で結んで、リハーサルでは踊りも抑えめにして、本番では「エイヤッ!」とほどけるような激しい踊りでヘソ出し成功。以来、紅白も含めて「解禁」にこぎつけました(笑)。

──

 世界千夜一夜シリーズと名付けられて「狙いうち」(73年)などヒットを連発。紅白も3年連続で出場していたが、80年代以降、再び停滞期に入った。

──

 それまでは「まだ歌っているの?」と言われることもありましたが、90年代に入って子供たちからサインを頼まれたんです。どうして、この子たちがと思ったら、アニメの「ちびまる子ちゃん」で使われていたんですね。

 さらに、米米CLUBがステージで「リンダメドレー」をやってくれていたり、六本木や新宿の踊るほうのクラブで「リンダタイム」が盛り上がっていたり。

 それが“第3次ブーム”と呼ばれ、91年の紅白に17年ぶりに復帰することができたんです。その年はレコード大賞でも特別賞をいただきましたし、紅白では「どうにもとまらない~狙いうち」のメドレーだったので、ステージ上での早着替えをやりました。

 クラブで踊る若い人たちがブームを作ってくれたと思うと、ずっと歌っていてよかったなと感じましたね。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」
5
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」