大きな話題は、今秋から海外レースの馬券発売がスタートすること。これでいったいどうなるのか。スポーツ紙デスクが解説する。
「凱旋門賞など世界の主要24レースが対象候補。出走18頭を超える海外レースに対応できるシステムが夏に完成予定で、秋からの発売を目指しています。払戻金は海外のオッズと連動させず、国内完結型(独立プール方式)。出走時間との兼ね合いからインターネット投票のみになる見通しで、馬券の種類は検討中です」
欧州ばかりか米国や豪州、香港、ドバイのレースも対象候補。中でも豪メルボルンカップ(GI)を推奨するのは、海外競馬に詳しい競馬ライターの秋山響氏だ。
「1861年に創設されたハンデ戦で、『国の活動を止めるレース』と言われるほどの人気を誇っています。06年には日本馬のデルタブルースとポップロックがワンツーを決めるなど、日本でもなじみがあると思いますが、馬券的にはハンデ戦で、しかも最大24頭立てだけに荒れる要素が満載。短距離主体の豪州で、3200メートルの長距離戦というのも紛れが多い理由の一つ。15年も単勝101倍(23番人気タイ)のプリンスオブペンザンスという超穴馬が勝利し、3連単は200万馬券でした」
ここで海外レース馬券作戦のワンポイント指南を。
「どこの国でも地元馬ひいきの傾向はあるもので、例えば昨年12月のチャンピオンズC(GI・中京)は香港でも発売されましたが、地元馬ガンビットの単勝は3.7倍(日本では15.7倍)でした。国内発売の海外レースでは、意識して外国馬狙いがいいかと思います」(前出・秋山氏)
日本馬を狙うのなら現地入りして馬券購入するのが得策のようだが、それは外国人から見ても同じこと。JRAは今、大挙して押し寄せる中国人旅行客を狙って「競馬場ツアーをもっと増やしてほしい」と旅行会社にオファーを出しているという。
「原則、ギャンブル禁止の中国では、中国国際旅行社が14年秋から東京競馬場などへのツアーを主催。昨年春には12回も実施され、大盛況でした。競馬場内には中国語のカタログも置かれ、今年はさらなる盛況を期待している。そこで展開されるのが、馬券の“爆買い”です。買い方によっては、オッズが一変する事態もあるでしょう」(前出・スポーツ紙デスク)
国際化が加速する中、国内のレース傾向に目を移せば、今年も「社台の運動会」となりそうだ。社会部記者が言う。
「TPP協定で、輸入後に競走馬を出産させる繁殖牝馬の関税(約360万円)こそ即時撤廃ですが、国内レースに出走させる現役外国産馬の関税(約360万円)は、撤廃までに16年もかかることになった。馬産地への配慮といいますが、これで社台王国はさらに安泰だとも言えます」
社台に対抗して会員制クラブのオーナーや馬主がアメリカから強い馬を連れてきて走らせたくても二の足を踏みそうで‥‥。