年末ギリギリの「歴史的合意」に、直後からブーイングの嵐が吹き荒れた。日韓を分断した長年の懸案事項「慰安婦問題」が両政府間で最終決着したはずが、歓迎ムードどころか、大反対運動が巻き起こっているのだ。その先にあるのは、実に「物騒な結末」だというのだが‥‥。
岸田文雄外相(58)と韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は昨年12月28日のソウルでの会談で、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」ことを確認。岸田氏は「軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた。日本政府は責任を痛感している」と表明し、日本は元慰安婦への支援として、韓国が設立する財団に10億円を拠出することになった。
ところがこれに対し、元慰安婦の支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」が猛反発。ソウルの日本大使館前に建てられた、慰安婦の象徴たる少女像の撤去を日本政府が求め、韓国政府が「解決に努力する」としたことにも「屈辱的だ」としたうえで、撤去どころか「必ず東京のど真ん中に建てる」とケンカを売ってきたのだ。これに韓国の世論も呼応。
〈たった10億円の金で韓国は日本に何も文句を言えなくなった。朴槿恵大統領はとんでもないことをやらかしてしまった〉
〈慰安婦像を撤去することなどできない〉
〈売国奴朴槿恵大統領には必ず責任を問わせなければならない〉
と、ネット上などで大論争が起きているのである。この状況に「最悪の場合、朴槿恵(パク・クネ)大統領(63)の暗殺もありうる」と物騒な予測をするのは、韓国事情に精通する作家・北一策氏である。
「今回の日韓合意で、韓国の世論調査機関『リアルメーター』は、少女像移転を『反対66.3%、賛成19.3%』と発表。合意を『よくやった』とする人の割合は43.2%、『よくない』が50.7%という結果になったとしました。このように世論が二分される状況は論争が過熱し、過激闘争が起きやすい。特に強固な反日思想を教え込まれてきた若年層が日韓合意を否定していることからも、激しい反対運動が起きる可能性は高いでしょう」
さらに北氏は、合意翌日の12月29日に、北朝鮮の金養建(キム・ヤンゴン)統一戦線部長(73)が交通事故で謎の死を遂げたことを指摘。平壌で金氏が乗る車と軍の大型トラックが衝突し、金氏が即死したというのだが、いったい何の関係があるというのか。
「交通量の少ない北朝鮮で、重要なポストにいる人間が事故死するなど、非常に不自然です。統一戦線部は故・金日成主席の肝いりで作られた諜報・工作部隊であり、最大任務は韓国工作。公然・非公然活動を通じて、南北統一のために韓国世論を『親北』『反日』に誘導してきました。日韓が反目すればするほど韓国は北朝鮮に近づき、同時に日本も北朝鮮との国交正常化を希求するようになると考えたのです。だから今回の日韓合意は、統一戦線部の失敗と位置づけられる。その責任を取らされ、金氏は『粛清された』可能性が高い。北朝鮮は今後も少女像移転反対闘争を中心に韓国世論を反日強硬路線にあおり、朴政権の合意をひっくり返す努力を死に物狂いで行うでしょう。そのためには、朴政権を転覆させるほどのエネルギーが必要。最悪の場合、『直接行動』に出ることもありうるのです」
すなわち、朴大統領襲撃であり、暗殺だというのである。その「実動部隊」について北氏は、
「最もありうるのは、北の工作員にそそのかされた、過激思想の韓国の若者。それが難しい場合は、韓国内に潜入している活動家、工作員が文字どおり生命を賭して、みずから犯行に及ぶ。事故を装う場合もあるでしょうね。失敗したら、彼ら工作員に待っているのは『死』ですから‥‥。それを理解させるための、日韓合意翌日の金氏『粛清』だったと考えるべきなのです」
朴大統領の父、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領は、民主化運動弾圧などが反発を招き、79年、側近に暗殺されている。1月6日には突如「水爆実験」を行うなど、先鋭化を加速させている北朝鮮だけに、何やら不気味だが‥‥。