今週は中京で「チャンピオンズC」が行われる。人気の中心はダート転向後6連勝中のアウォーディーだが、ホッコータルマエやコパノリッキーなど砂の猛者たちが勢ぞろい。まさにダート界のオールスター戦の様相だ。
舞台を中京に移すと同時に「チャンピオンズC」と名を改めて今年で3回目。コース移設は国際競走としての位置づけを明確にし、レースとしての評価を高めるための措置。ダート競馬というと、それが主流の北米競馬だが、そのほとんどが左回り。であれば、中京で最高峰のダート戦が行われるのは当然で、今年は当初、米国馬が2頭参戦する予定だった。ともに回避となったのは残念だが、日本馬だけでもかなりハイレベルな戦いになりそうだ。
地方(交流)競馬の盛り上がりを含め、近年、ダート競馬自体の質が上がっていることは明らか。その中のトップクラスの面々が激突するのだから、おもしろくないわけがない。
ダートにホコ先を向けるや、たちまち6連勝。一気にダート界のスターに躍り出たアウォーディーに、その弟で米国3冠レースに挑戦したラニ。前哨戦のみやこS勝ちアポロケンタッキー、同・武蔵野Sを制したタガノトネール、いまだ健在の古豪ホッコータルマエ、コパノリッキーにサウンドトゥルー。さらにはノンコノユメ、ゴールドドリーム、モーニンと、さながら“ダート界オールスター夢の競演”といった趣だ。
「ジャパンCダート」名で始まったこのGI戦は、今年で17回目を迎えるが、馬単導入後の過去14年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連で4回)。この間、1番人気馬は5勝(2着3回)。2番人気馬はわずか1勝(2着0回)。馬券的には人気どおりに決まりにくく、中穴傾向にあるようだ。
年齢的には充実の5歳馬が最も連絡みしており、これまでの16回で8勝(2着6回)と他の年代を圧倒している。上り坂の3歳馬も強い。古馬の57キロに対して斤量面で1キロ軽いだけだが、3勝(2着2回)と善戦しており、ゴールドドリーム、ラニは、評価どおり要注意と言うべきか。
反面、牝馬は苦戦を強いられている。昨年の覇者サンビスタが牝馬で初めての連絡みだった(今回は牝馬の参戦はない)。また7歳以上も、これまで2着1回のみで、古株には肩入れすべきでないことがわかる。
こうしたデータをもとにあらためて顔ぶれを見てみる。アウォーディーを筆頭としてコパノリッキー、サウンドトゥルー、タガノトネールといった人気どころは、いずれも6歳馬。
では、5歳馬はどうか。4頭出走してくるが、評価は前述した6歳馬ほどではない。肉体的に見て今がピークなら、データからいってもその5歳馬に目を向けるのが筋。穴党としてもうなずけるところで、評価がやや下がった感のあるアスカノロマンに最も期待を寄せてみたい。
前走のみやこSは2番人気に支持されながら見せ場なく14着。しかし、だからといって軽く見るべきではない。前走は前々走に比べて体重14キロ増。減っていた体重が元に戻ったのだが、馬体に締まりがなかった。状態がイマイチだったうえに、勝負どころで不利を被り、最後は勝負を諦めた感じだった。
が、今回は休み明け3戦目。この中間、大幅な良化ぶりを見せている。1週前の追い切りは実にリズミカルで、馬体に張りが出て好気配だった。
「本来の姿を取り戻してきた」とは川村調教師はじめ、厩舎スタッフが口をそろえるところ。であるなら巻き返しがあっていい。
中京は東海S(GII)勝ちを含めて2戦2勝と相性抜群で、距離の1800メートルもベスト。この春のGIフェブラリーSでは僅差の3着。能力が見劣りせず走れる条件がそろっているとあっては、狙わない手はない。
世紀の名馬ノーザンダンサー、名牝コスマー(3年連続で米国女王に輝く)、ヘイロー(サンデーサイレンスの父)が近親、一族にいる超良血。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
穴中の穴はモンドクラッセだ。こちらも5歳馬で、重め残りの前走を使われて状態一変。スムーズに先行できるようなら大駆けがあっていい。