マエケンが開幕早々にノーヒッターとなった快挙を、杉作氏はこう見る。
「私生活が落ち着いたから、としか言いようがない。昨年はスキャンダル(キャンプ中、モデル女性との密会を写真誌に激写)で我を失った部分がある。うれしくてという感じでしたよね。あのルックスで(笑)女性関係が盛んになったのは初めてだと思うんですよ。沢村賞を獲って給料は上がり、私生活も充実しすぎて嫌な予感はしてたんですよ。女にはモテるわ、金はあるわで。でも今年は(1月にフリーアナと)結婚して落ち着いたんじゃないかな」
盤石の投手陣を擁するカープの野手陣の評価はどうなのか。北別府氏は、
「特に外野手争いが熾烈です。(クリーンアップも打つ)丸佳浩(23)、松山竜平(26)、廣瀬純(33)がいて、天谷宗一郎( 28 )、赤松真人(29)といった(レギュラークラスの)選手があふれているんですよ。故障者が出ても層が厚くなった」
さらにもう一人、目玉選手がいるという。
「會澤翼(24)という打てる捕手が育ってきています。今は打撃を優先して外野を守ることがありますけど。91年に西山秀二が台頭してきたパターンと同じです。打撃から注目され、その後、正捕手になった」(風見)
そして、隠し玉的な若手が三塁手・堂林翔太(20)である。シーズン前に著書「神さま、そろそろカープに優勝を!」(宝島社)を出版した広島テレビ・コメンテーターの迫勝則氏が話す。
「今年のキャッチフレーズは『破天荒』。堂林を育てるのがそれです。かつて古葉竹識監督が『お前が一人前になるか、俺がクビになるか』と、高橋慶彦を起用したのとまったく同じ。野村謙二郎監督(45)は堂林に賭けています。1点を守り抜く戦略は手堅いですが、これは破天荒。一軍経験のまったくない無名の選手を開幕からスタメンで起用し続けているんですから」
この「破天荒野球」の背景を、北別府氏は次のように分析するのだ。
「若い選手を育てるのにひとつポジションを与えるのは、チーム全体のレベルが高くないとできないですよね。チームとしての余裕、余力がないとできない」
さらに、この無名の若手起用に「高度な作戦」を見いだすのは杉作氏だ。
「まだ高校生みたいな体つきの堂林に、海千山千の投手が腕がちぎれんばかりに100%力を入れることはできません。もしかしたら作戦かと思うほど、見た目が子供じみている。野村と今村にしても、彼らがマウンドにいて、海千山千の打者が100%集中できるかといったら、それは難しいと思うんですよ。どうしても油断してしまうんです」 恐るべし、カープ。
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