手軽にできて効果が高いと人気ナンバーワン健康法といえば、まず浮かんでくるのがウォーキングだろう。「目標1万歩」などと毎朝頑張っている人は多い。しかし、実はこれが健康にはよくないのだという。ウォーキングにも正しいやり方、間違ったやり方があるからだ。
健康法の本はそれこそ無数に出版されているが、今話題の健康本は「やってはいけないウォーキング」(SB新書)だ。著者は東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室長の青柳幸利医学博士。青柳氏は15年以上かけて、65歳以上の5000人を対象に24時間365日の活動を追跡調査した結果を「健康に効く歩き方」としてまとめた。
そこで青柳氏はこう言っている、
「一日1万歩以上歩いているのに、病気になる人を大勢見てきた」
そして、その理由について、「毎日1万歩以上歩いてさえいればOK、毎日1万歩を歩けば健康になる、という誤った認識から、歩けば歩くほど健康になると思い、毎日歩数計をつけて、一歩でも歩数を伸ばそうと頑張る。これが間違い。運動のしすぎは免疫力を低下させ、病気になりやすくなる」と説明している。
激しい運動をしている時、心臓は大量の血液を送り出す。そして大量の血が、流れにくくなった血管を通ろうとして、血管は詰まっていく。
「運動をしているのに動脈硬化になる人はけっこういる。過激な運動をしている人は老化が早い」(スポーツインストラクター・大川香氏)
ウォーキングもやりすぎは体に毒なのだ。だからといって、運動不足も体に毒。では、ほどほどの運動とはどんなものか。
「ほどほどといっても、感覚値ではない。ほどほどの運動とは、1日24時間の総歩行数が8000歩。そのうち、中強度の運動(なんとか会話ができる程度の速歩き)を行う時間は20分。この2つを組み合わせた数字が健康長寿を実現する黄金律であり、あなたの健康を維持するための重要な数字です」(前出・青柳氏)
「ほどほど」こそが、健康に対する「万能薬」のようだ。
(谷川渓)