社会

“目からウロコ”の健康になる歩き方、病気になる歩き方(3)歩数に達しなければ効果ゼロ

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 さらに青柳氏の解説を聞こう。

「例えばうつ病の予防には『1日4000歩/中強度歩行5分』がボーダーラインだとわかった。理由の1つが太陽の力です。人間は日光を浴びることで体内のリズムを整えますが、うつ病の人は日光を浴びる時間が極端に少ないため、生活にメリハリがない。それが悪循環に陥る要因です。家の中にいただけでは『4000歩/5分』を達成できない。中強度の運動で体温が上昇すれば、睡眠効果も生まれます。足腰が弱くなって外出する機会がなくなった、あるいは引きこもりがちになったと感じる人は今すぐに始めてください」

 また、認知症や心疾患、脳卒中予防のためには「5000歩/7.5分」の身体活動が必要だという。

「心疾患や脳卒中が発症する背景には動脈硬化と高血圧がありますが、その多くが運動不足によるもの。摂取エネルギー超過のため、内臓脂肪がたまって代謝機能が不順になる。そのまま放置していると動脈硬化になってしまうんです。つまり予防するためには、まず身体活動量をアップして食事のバランスを改善するしかない。その最低ラインが『5000歩/7.5分』ということです」

 我々はふだんの生活の中で通常、2000歩程度は歩いているため、

「あとは『3000歩/7.5分』をどう取り込むかだけ。散歩の時間を確保するのもよし、買い物ついでに歩くのもよし。で、7.5分だけは中強度の速歩きをする。ぜひ実行してみてください」

 そしてガンや動脈硬化、骨粗鬆症予防の場合はこうだ。

「ガンは生活習慣などさまざまな要因が重なって発症すると言われますが、運動不足も要因の一つ。活性酸素が遺伝子を傷つけるとガンが発症しやすくなるため、適度な運動を行うことで活性酸素の攻撃を弱め、傷ついた遺伝子を回復させる働きが高まります。特に大腸ガンや肺ガン、乳ガン、子宮内膜ガンなどは運動との関連が強い。また、心筋梗塞や脳梗塞、くも膜下出血につながる動脈硬化もガン同様、『7000歩/15分』をボーダーラインとして、大きな違いが出ることがわかっています」

 その他、高血圧症、糖尿病は「8000歩/20分」がボーダーラインだという。

「ただ、注意していただきたいのは、これは『オール・オア・ナンの法則』で、『全てかゼロか』ということ。つまり、本来8000歩を歩くべきところ、5000歩だったから高血圧症の予防に多少の効果があるだろう、という考えは当てはまりません。5000歩では高血圧や糖尿病の予防効果はゼロ。その点を勘違いしないことです」

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