テリー ちょっとアサ芸向きの話もしましょうよ。山口さん、実は昔、映画「エマニエル夫人」のテレビ放映で、主役のシルビア・クリステルの吹き替えを担当されてるんですよね。
山口 ええ、確か22か23歳の時で。衝撃的でした。
テリー 公開時、大きな話題を呼びましたからね。ましてテレビ放映となると、注目度も高いし。
山口 キレイだけど、際どいシーンも多くてね。でも、ちょうど女優業に専念していく時期だったので、アイドルを脱皮して、大人の女性も演じられるようにしていこうと。
テリー しかし、大胆な選択ですよ。
山口 アエギ声とかセクシーなシーンに関しては、吹き替えをしないというお話だったので(笑)。
テリー 実は、その吹き替え音声が入ったブルーレイが昨年発売されました。
山口 そうなんです!! とてもうれしいんですけど私の演技が下手すぎて‥‥。あれを聞かれると思うと、セクシーなシーンよりよっぽど恥ずかしい(笑)。
テリー 録音現場は、どんな雰囲気だったんですか。
山口 当時、タレントや女優が映画の吹き替えをするのがまだ珍しい時代だったんです。現場に行ったら、私以外は全員ベテランの声優さんで、失敗も多かったから冷ややかな目で見られましたね。だって、すごいんですよ。通しのリハーサルもなくて、いきなり本番録りだったんですよ。
テリー ええっ!?
山口 もうビックリしちゃって。だから、下手な私だけあとで録り直すことになったりして。大変でした。
テリー だけど放映された「日曜洋画劇場」の枠では、歴代2位の視聴率を獲ったらしいですよね。
山口 ええ、最初は1位だったんですが、「スーパーマン」に抜かれたらしいです(笑)。
テリー 苦労は報われたから、いいじゃないですか。これからは、どんなことをやっていきたいんですか?
山口 そんなに大きな夢はないんですけど、ステキなお年寄りになりたいです。
テリー それ、いいじゃないですか!
山口 若い頃は老いていくことにすごく恐怖心があって、「やっぱり年は取りたくない」「キレイって言われたい」っていう部分があったんですけど、還暦を迎えた時に吹っ切れたのか、すごく気持ちが楽になって。今はステキなおばあさん役ができるようになりたいと思ってるんです。
テリー もうなってるじゃないですか。山口さんは貴婦人が演じられる、日本では数少ない女優さんです。
山口 本当ですか!? ありがとうございます。子育てでお仕事をやめていた時期もあったし、昔みたいにいかないのはわかっていますけど、その言葉、本当に励みになります。変に若作りしないで、年齢なりの魅力を出せるといいかな。
テリー 最近ではハリウッド女優なんかもノーメイクの写真を堂々とネットに出したりしてますよね。ナチュラルさをアピールしたほうが、同性にも好印象だと思いますよ。
山口 ええ。そもそも、役者さんみんなが若くてキレイだと、おばあさん役がいなくなりますから(笑)。上品でかわいいおばあちゃんが演じられる、よい年の取り方をしたいですね。
◆テリーからひと言
いつまでも変わらない美しさと上品さ。「エマニエル夫人」もあらためて観てみますね。4月にライブもあるそうなので、ぜひ聴きに行きたいなぁ。