海の向こうから仰天ニュースが飛び込んできた。アメリカの女子サッカー選手にガンが多発しているのだ。そしてその大半がキーパー。原因はなんと、人工芝にあったというのだから‥‥。
リオデジャネイロ五輪予選で、なでしこジャパンは惜しくも敗退してしまったが、そのプレーは私たちを熱くした。特にゴールを死守すべく右へ左へと飛ぶ山根恵里奈や福元美穂のプレーは感動的だったが、そのキーパーが命の危険に晒されている。
発端はワシントン大学の女子サッカー選手が次々とガンを発症したことによる。ガン発生者38人のうち34人がゴールキーパーだったのだ。彼女らが罹患したのはリンパ腫や白血病などの血液のガン。
14年には米国NBCテレビが「人工芝から、健康に害を及ぼす危険性がある高濃度の鉛が検出された」と、人工芝に使われるゴムチップの危険性を指摘。全米でゴム屑の安全性に関する議論が白熱した。ワシントン大学のサッカー部でキーパーをし、ガンを発生した人物はこう話している。
「人工芝から古タイヤがちぎれたような、極小の黒いゴム屑が出ているのを感じていた。これが服や髪の毛に付着。さらに切傷、擦傷を通して器官に侵入し、ガンの原因になったのではないか」
そもそも合成繊維や廃タイヤから作られる人工芝の原材料はベンゼン、カーボンブラック、鉛など発ガン性のリスクが高いもの。そしてこのたび、米消費者製品安全委員会(CPSC)が人工芝の原料として使用されている古タイヤの危険性について調査を開始すると発表(16年2月12日)したのだった。
日本でも多くの球場などが人工芝だし、自宅のベランダや学校、子どもたちの遊び場、保育園でも人工芝の使用は増えている。早急に安全性の調査が必要だ。
(谷川渓)