12年度の予算が3.7兆円という生活保護費は、もちろん国民の税金から捻出されている。モラルの問題が問われるのは当然だ。国会議員が芸人を名指しで非難したために、多くの国民が問題意識を持つに至った今回の一件。それだけに、代理戦争さながらの論戦が繰り広げられているのである。
「収入が多いのにもかかわらず、生活保護を受けているのは道義的にどうなのかということの指摘に対しまして、自分の認識が甘かったということです」
5月25日、次長課長・河本準一(37)が、生活保護を受けていた実母の“不正受給疑惑”に関して釈明会見を行った。
河本は、実母に十分な援助をしなかった理由の一つとして、芸人という職業柄、収入が安定しないことをあげている。
そもそも騒動を最初に報じたのは、「女性セブン」4月26日号である。当初、同誌は河本を「芸人A」とし、実名を伏せていた。しかし、ネット上で実名報道がなされると、以前より生活保護問題に取り組んできた、参議院議員・片山さつき氏(53)が自身のブログで河本の名前をあげて問題提起したのだ。
「確かに、年収5000万円とも報道された河本が、実母に生活保護を受けさせていたことはモラル上、見過ごすことはできないでしょう。とはいえ片山氏が実名で行った糾弾にも、同様のケースは他にもあるだろうに事情を配慮せずに個人攻撃をしているとして、批判的な声が上がった」(芸能記者)
各界の著名人たちの反応は、河本バッシングがある一方で、河本擁護論やアンチ片山派など賛否両論となっている。
特に吉本興業所属の芸人たちからは河本をかばう声が続出。ツイッター上で、オリエンタルラジオ・藤森慎吾(29)やブラックマヨネーズ・吉田敬(38)と一般ユーザーとのバトルも勃発した。さらには、千原せいじ(42)の発言を勘違いした片山氏が、テレビ番組の生放送中に涙を流して反論するという事態まで起きている。
「河本がCM出演していた『ホンダ』の広告から消されただけでなく、吉田をCMに起用していた『カルビー』が同動画を公式サイトから削除するなど、波紋は広がるばかりです。実は吉本は、今回の一件が大きくならないように動いていました。しかし、片山氏の追及もあって世間の関心事となってしまい、黙殺することができなくなってしまった。河本が釈明会見をしたのが、発覚からだいぶ経過したのはそのためです」(広告代理店関係者)
しかも吉本は5月30日、河本に続いてキングコング・梶原雄太(31)の実母の生活保護受給に関してまでも釈明会見を開いた。
梶原は母親にプレゼントしたマンションのローンを毎月40万円以上も支払っていたという。それだけに、生活の面倒は見られなかったのかと問題視された。
梶原は母親に生活保護受給の必要があった理由として、別の親族にイザコザがあったことを明かしている。
ところで、相次ぐ所属芸人たちの「生活保護受給トラブル」発覚に、吉本は右往左往している様子だ。
「吉本には、食えない芸人たちにお金を貸し付ける制度があると聞きます。一時期、『福岡よしもと』所属芸人だけで会社に借りている総額が4500万円に上っていたこともあったというほどです。とはいえ、借りた芸人がそのまま売れなければ金は返せない。今回の騒動は親の受給に関する問題で、まったく別問題なのですが、報道に結び付けられて、芸人たちが生活保護を受給して会社に金を返しているなどと勘ぐられてはダメージとなってしまいます」(お笑い関係者)
後ろ暗いことがなくても騒動が大きいだけに、風評被害がありうるというのだ。
「吉本のシステムは、“バイトするよりも金を借りて、売れたら返せ”という考えのようですが、後輩におごるのも一つの文化ですから金はいくらあっても足りない芸人だって出てくる。河本にしてもまだ売れていない頃、大人数の支払いを引き受けて、後輩らを飲み屋から帰らせたあと、知り合いの女に片っ端から電話して飲み代を払わせたという伝説を持つほど。芸人の金銭感覚が一般とは違うわけです」(前出・お笑い関係者)
さまざまな意見が出ているが、「河本VS片山」はさらなる展開を見せるのだろうか。