水戸 いずれにしても皐月賞はハイレベルの戦いだったことは間違いないわけだけど、3強が敗れたように、競馬は何が起こるかわからないからおもしろい。ダービーも“皐月賞組で絶対”とは思えない。
山河 同感ですね。それはデータからもわかります。過去、皐月賞が速い時計で決着した年は、ダービーに直結していないんです。今年は1分57秒9でしたが、1分58秒0だった13年の1着馬ロゴタイプはダービーで5着。2着のエピファネイアは本番でも2着に来ましたが、04年(1分58秒6)の1、2着馬ダイワメジャーとコスモバルクは本番で6着と8着。02年(1分58秒5)の1、2着馬ノーリーズンとタイガーカフェも8着と10着でした。
漆山 まだ3歳の若駒ですから、やっぱり反動が出るんですよね。えっ、ということは、2人とも本命は皐月賞組ではないと。
水戸 もちろん。
山河 ですね。
漆山 実は僕もそうなんです。本命は青葉賞を勝ったヴァンキッシュランにします。ここ数戦コンスタントに使われていますが、特に青葉賞の抜け出してきた脚を見て、これは本格化してきたなと。それに青葉賞のタイムが2分26秒を切った時が過去4回あって、その時の勝ち馬はダービーで【2】【6】【2】【3】着なんです。
山河 6着はペルーサだ。
漆山 まあ、かなりの確率で好勝負を演じているということです(笑)。それに、「この馬に勝てば強い」と言われる今年の3歳路線の“基準馬”であるメートルダールに勝ったわけですからね。
水戸 クラシック路線には乗れなかったけど、血統馬だし、皐月賞組に匹敵するぐらいの力はあると思う。
山河 ただ気になるのが、2月6日の500万下で2着に降着しているじゃないですか。そのせいで青葉賞が7戦目となった。過去、青葉賞で権利を取ってダービーで2着した馬は、青葉賞が6戦目までの馬に限られるんですよね。
水戸 1戦多いというわけか。でも、ああいうケチがついても、ここまで挽回してきたんだから強い馬だよな。
漆山 このところ内田騎手に復活の兆しが見えていますから、それも本命に推した理由の一つです。
<座談会メンバー>
水戸正晴 サンケイスポーツ記者。週刊アサヒ芸能で「万券を生む血統論」を連載する大穴党。狙うのは、1年に1度は手にしてきた帯封(100万円)。今年はこのダービーで1本目が実現する?
漆山貴禎 夕刊フジ記者。東京大学文学部卒。競馬記者歴は11年。予想スタンスは実績とデータ重視。一昨年のGIで、3歳牡牝3冠の6戦全てを的中させる快挙を演じてみせた。
山河浩 東京スポーツ記者。97年入社後、一貫して中央競馬担当の大穴党。04年、皐月賞の馬単を1点勝負。150万円余りを的中させるも、ダービーで同じ2頭に突っ込んで紙クズに。