元日本代表の中田英寿氏が香港で開かれたお酒の見本市「ヴィネクスポ香港」で、自身が開発に携わった日本酒セラーを披露した。
このセラーは日本酒の温度を細かく管理できるというもので、250カ所以上の酒蔵を訪れた経験を持つ中田氏が発案から深く関わっているという。
しかし、セラーと同時に日本酒の魅力も世界にアピールした中田氏をサッカー関係者は快く思っていないというから穏やかではない。サッカージャーナリストが解説する。
「中田氏は現役を引退するとすぐにサッカー界から離れてしまいました。ですが、サッカー関係者はいつか戻ってきてくれるだろう、それまでは外で見聞を深めてくれればいいと考えていたんです。ところが、その後、チャリティマッチに参加したり、サッカーのキャンペーンを行ったりはしていますが、指導者の経験はありません。そもそもJリーグで監督をするために必要なS級ライセンスすら取得していません。現役時代にチームの司令塔を務めていた中田氏はきっといい監督になってくれるはずで、いずれは日本代表の監督として‥‥と夢見る人も多いんです。同世代の小倉隆史は名古屋グランパス、薩川了洋はSC相模原、名波浩はジュビロ磐田で監督をしていますから、中田氏も日本酒をアピールする暇があったらサッカー界に戻ってきてくれればいいのにというわけです」
ペレのように現役時代の名声に傷がつくのを恐れて監督を引き受けない選手もいるが、多くの名選手は自身の経験を後進に伝えてサッカー界に還元するのが今では当たり前。日本が初めてW杯に出場した時の司令塔で、3回ものW杯出場経験を持つ中田氏にそれをやってほしいと考えるのは当然だろう。
「中田氏が現役引退を発表した時、イングランドプレミアリーグで辞めるのではなく、日本に帰ってきてJリーグでプレーしてほしいと多くのファンが望みました。中田氏が育った湘南ベルマーレや出身地の山梨県甲府市をホームにするヴァンフォーレ甲府は彼の獲得を望んでいたと言われています。ちなみに熊本出身の元日本代表・巻誠一郎は今J2のロアッソ熊本でプレーしています。サッカー選手は現役生活の最後を出身地やゆかりのあるクラブでプレーして地域に貢献するという考えがありますが、中田氏にはなかったようですね。現役でこれですから、監督なんてやる気にもならないのでしょう」(前出・サッカージャーナリスト)
セリエAに移籍して華々しい活躍を見せ、日本人選手の欧州進出への扉を開いた“世界のナカタ”が再びピッチに立つ日はやってくるのだろうか。