魔女の呪いで長い眠りについていた王女。100年ぶりに目覚めると、そこには凛々しい王子が立っていた──これはグリム童話の「眠り姫」だが、今回の事件で女性たちが寝ぼけ眼に対峙したのは、無精ヒゲを生やした長髪の大男だった。
お姫様抱っこで「泥酔女性」を自宅に連れ込み、6月18日に監禁容疑で逮捕されたのは栗田良文容疑者(33)。事件は6月4日早朝に起きた。足立区に住む会社員女性(28)は、前日の晩から酒を飲み、JR新宿駅から山手線に乗り込んだ。しかし、深酒がたたってすぐに眠り込み、栗田容疑者につけいるスキを与えてしまう。
「目を覚ましたのは、まる1日近くたった5日の早朝。遠く離れた相模原市内にある栗田の自宅で、ベッドの上に寝かされていました。その後、正気を取り戻した女性は栗田の家から逃げ出すのです」(捜査関係者)
土地勘のない被害者の女性が駆け込んだのは現場から約400メートル離れたコンビニだった。同店のオーナーがあとを引き取る。
「お店に入るなり、『公衆電話はないですか?』と尋ねてきました。事情を聞くと、知らない男性に監禁されていたと言う。すぐに店員が110番通報して、彼女は警察に保護されました。本人はカーディガンにジーンズという服装で、靴もちゃんと履いていましたよ」
被害者の証言と付近の防犯カメラの映像が、逮捕の決め手になった。
事件現場のアパートを訪れると、ちょうど同じ階の住民が部屋から家具を運び出していた。話を聞くと、
「あのニュースを見て、すぐに引っ越しを決めました。女性を抱っこしているのを何度も見かけましたが、てっきり夫婦かと思いましたよ。それがあんな事件を起こしていたなんて‥‥。怖くてもう住めませんよ」
所轄の警察署には、他にも監禁の被害者と見られる女性から、4件の被害相談が寄せられていた。
「5人どころじゃありません。3年ほど前から何人もの女性が連れ込まれていました。みんな意識がなくて、フラフラの状態でした」
とは近隣住民。続けて、昨年夏に目撃した「連れ込み現場」を明かすのだ。
「日曜の朝9時頃でした。アパートの前にタクシーが止まっていて、その後部座席ではドレスを着たキレイなお嬢さんが眠りこけていました。結婚式に出席した帰りのようで、引き出物が入った白い紙袋が座席の下に転がっていたんです」
女性の顔はよく確認できなかったが、スラリと伸びた長い脚が印象に残っているという。
「どうにかタクシーから下ろすと、足を抱え上げて、お姫様抱っこの体勢で、自室がある3階まで上がっていきました。その時、栗田は『しょうがねえなぁ』とボヤいていたので、同棲中の彼女だと思ったのですが‥‥」(前出・近隣住民)
つい最近では、「失禁女性」の痕跡も目撃されている。別の近隣住民が言う。
「6月の上旬に異臭がしたの。ニオイのもとをたどったら、そこが栗田の部屋。玄関前に水たまりができて、ションベンくさかった。今思うと、栗田に連れ込まれた女がそこでオモラシしちゃったんだろうね」
目撃情報をまとめると、栗田容疑者が自宅に持ち帰った女性は2桁に上る。いずれも20代と見られ、
「茶髪のキャバ嬢みたいな女性もいれば、スーツを着たOL風もいた。2年ほど前、近所の人が警察に通報したんだけど、駆けつけた警官はアパートの門の前で栗田に追い返されていた」(アパートの住民)
気になるのは、栗田容疑者の連れ込み手口だ。
「都内の駅構内では、栗田と見られる男が、酔い潰れた女性にペットボトルを差し出す姿が目撃されています。警察の調べに、『酔い止めと称して睡眠導入剤を飲ませた』と供述したようですが、現時点で性的な被害を訴えた女性はいません。彼女たちは密室で何をされたのか、動機を含めて謎だらけです」(前出・捜査関係者)
わずか7畳のワンルームに閉じ込められた「眠り姫」たちは、起きしなにどんな“悪夢”を見たのだろうか。