ステイリッチはデムーロ以前、ルメール、戸崎が乗っていた社台系の期待馬。この日も2番人気に支持されたが、デムーロは後方待機のまま、何もせずに16着と惨敗した。取材陣がレース後のコメントを求めに行くと、デムーロはこう言い放った。
「(馬が)ゴトゴトで、仕上がっていない」
もう乗りたくないと言わんばかりである。それを伝え聞いた加藤師は憤る。
「こっちからお断りや。もう二度と乗せん!」
美浦トレセン関係者も顔をしかめる。
「通常は、やんわりと『一度叩いた次はいいんじゃないかな』と答えるものですけどね」
私怨渦巻く激烈な対立は、簡単には終結しそうにないのである。
そして、最近の競馬界全体の騎乗ぶりにモノ申すのが、東の大御所、蛯名正義(47)。東京スポーツのコラム「エビショウの“独舌”講座」(6月3日付)で、1番人気のディーマジェスティで3着に終わった日本ダービーで、直線で不利を受けたことをチクリとやりつつ、その日の最終レース、目黒記念での不利にもこう嘆いていた。
〈一方で残念に感じたのは、一部のジョッキーたちのアンフェアな騎乗ぶり。(レフェリーが裁かない)ルールの中であれば何をやってもいいのか。そして、それを“勝てば官軍”的に肯定する声にも、へきえきする。俺は競馬とはそういうもんじゃないと思っているから。クリストフ(ルメール)だって、(戸崎)圭太だって、あの世界的名手のライアン(ムーア)だって、正々堂々と乗って、その上で結果を残している。それが一部のジョッキーたちは、決まっていつもいつも‥‥。“正直者がばかを見る”では、あまりにも寂しすぎる〉
目黒記念で1番人気のマリアライトに騎乗した蛯名が、1コーナーで他馬に寄られたことを指していると思われるが、
「批判の対象となったのは柴田大知(39)、あるいは福永ではないかと推測されていますが、ハッキリしません」(専門紙トラックマン)
最後は馬券に直結する馬場状態を巡るひと騒動を。
「ここ数年の馬場の変化ぶりは、予想家泣かせです。第1回中京開催では、開幕週と2週目は『馬場を保護するぞ』と言わんばかりの長丈で、最終週は刈り込み、まったく雨が降らなかったことが誤算で、一気に高速化しました。高松宮記念を前にして、ある調教師は『コツコツと響くぐらいの音がするわ』と硬さを皮肉っていました。夏の中京開催が見ものですね」(スポーツ紙デスク)
6月18日から開幕した函館も中間の雨にもかかわらず、芝でレコードが飛び出す高速化ぶりだったが、上半期で最も驚かせたのが第3回京都開催だろう。
「良馬場発表なのにメチャメチャ重い馬場。京都芝コースを得意とするディープインパクト産駒が極度の不振でした。昨年から今年2月までの集計で、434戦64勝(勝率約15%)だったのが、80戦でわずか4勝(勝率5%)に。5月8日の3R未勝利戦を勝って以降、45連敗で京都開催が終了したが、10月開催でどんな馬場になるのか注目です。ちなみにディープ産駒の連敗が続くようであれば、スペシャルウィークやエンパイアメーカー、ナカヤマフェスタ、メイショウサムソン産駒が狙い目」(競馬ライター)
災い転じて福と成せ!