芸能

俺たちをトリコにしたオール「特撮ヒロイン」(1)「水野久美・世紀をまたいで4作のゴジラ映画に出演」

20160714g

 ニッポンの特撮映画に、「ヴァンプ(妖婦)女優」と呼ばれた花がいた。宇宙人から南海の美女、さらに総理大臣を演じてゴジラを支えたのが水野久美(79)だ。

──東宝の専属女優として、早い段階から特撮モノの出演は多いですね。中でも「マタンゴ」(63年)は、若者たちが不気味なキノコに浸食される描写が、トラウマ映画の元祖となりました。

水野 私も最後は禁断のキノコを口にして、恍惚の表情で「おいしいわよ」って言うのよね。

──そして、初めてゴジラ作品に加わったのが、ゴジラが「シェーッ!」をしたことで有名な「怪獣大戦争」(65年)です。

水野 そう、地球侵略を狙う「X星人」こと波川玲子ね。宇宙人でありながら地球人の科学者・グレン(ニック・アダムス)と恋に落ちて、自分の使命にとまどう役でした。

──特撮には珍しくメロドラマの要素が入り、海外にもファンが多い一篇です。

水野 98年には宇宙服を着た波川玲子のフィギュアまで作っていただいたけど‥‥残念ながら顔はちっとも似ていなかったわ(笑)。あの宇宙人の衣装は体型もはっきり出てしまうので、すごく恥ずかしかったんです。それがある日、ふと「これを着たら何でもできるような気がする」と思ったらラクになりましたね。

──続いて「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」(66年)では、南海のインファント島の娘・ダヨに扮しています。

水野 こっちのほうがX星人より大変だったかも。原住民に見せるために全身に黒いファンデーションを塗るんですけど、当時は品質が悪いから、1時間もすると呼吸困難になっていましたね。

──まだ特撮というジャンルも初期にあたりますが、撮影には苦労がつきなかったと思います。

水野 皆さんおっしゃるでしょうけど、特撮とドラマの距離感ですよね。監督に「ゴジラが10メートルに迫っている、次は5メートル!」と言われても、目線の感覚がつかめない。1度、円谷プロさんを見学させてもらい、怪獣の頭の部分を見ていたら、何となくわかった感じがしました。

──そして世紀をまたぎ、久々に出演したのが02年の「ゴジラVSメカゴジラ」で、ゴジラに再び襲われた日本の総理大臣役でした。

水野 息子(俳優の水野純一)も共演していて、むしろ息子のほうが大喜びしていましたね。

──さらに「ゴジラ FINAL WARS」(04年)では、地球防衛軍の司令官として「波川玲子」が復活。

水野 X星人が乗り移った偽物として撃たれるシーンがあるんです。耳栓をして、弾着をつけて、後ろにバーンと倒れながら、それでも目を見開いたまま、まばたきひとつしてはいけないと。後ろにマットは敷いてあったけど、この年で久しぶりのアクションが楽しかったですね。

──水野さんにとって「ゴジラ」はどんな存在?

水野 私にとってはあの顔が怖くない、とてもかわいらしい記憶ばかりが残っていますね。私がデビューした頃の東宝は、文芸路線と特撮に二分されていて、どうしても特撮は下に見られていた。それを「マタンゴ」の撮影中、先輩の太刀川寛さんに「どっちの芝居も同じだ」と言われて、ようやく、意識しなくなりました。

──世界的な評価は、特撮のほうが上でしょう。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」
5
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」