社会

オウム残党「首都圏にサティアン建設」戦慄実態(4)

新イニシエーションを開発

 こうした信者と接触したことのあるジャーナリストは、次のように言う。

「彼らは最初、『麻原さん』と言っていますが、そのうち『尊師』が入り混じり、しまいには『尊師』ばかりになる。麻原崇拝は消えていません。ヨガや瞑想、修行に関しては『個人として今もやっている』と胸を張ります」

 アレフ、独立少数グループ‥‥そしてもう一つ、危険集団がある。上祐史浩代表率いる「ひかりの輪」だ(信者200人)。07年にアレフを脱会した上祐氏が設立したもので、同団体の公式サイトには「麻原や旧教団が作成した教材は一切破棄した」「グル(麻原)に対する絶対的な帰依、グルへの愛着といった、自分たちが修習した宗教的な方便、手段によって、とんでもなく振り回されているのではないか」と、「脱麻原」を宣言する文言が並ぶ。だが、前出・公安関係者は、これをバッサリと斬り捨てるのだ。

「逮捕前の麻原の予言には、『オウムは2つの団体に分かれて活動しろ』とある。上祐氏はその2つ目の団体を運営しているのです。麻原はまた、『私の教えを後世に伝えるために私の批判をしろ』とも言った」

 まさに上祐氏は「ひかりの輪」を隠れみのにして、麻原の指示どおりに動いているにすぎないというのだ。公安関係者がさらに続ける。

「この上祐派は公安当局による観察処分を逃れるため、麻原の影響力を払拭したかのように装う麻原隠し路線を推進。だが、実際は麻原が行っていた『立位礼拝』と同じ修行をやり、麻原が唱えたものと酷似するマントラを継続している。さらに、麻原によるイニシエーション(秘儀伝授)にわずかな変更を加えただけの『エンパワーメント』と称する儀式を取り入れた」

 ひかりの輪本部が入る世田谷区内のマンションには、オウムとの関係に気づかない若者、大学で宗教学を学んでいる学生などがよく訪れるという。

 前出の元信者は、これら全ての「オウム残党」に、最大限の警戒が必要だと断言するのだ。

「麻原のことは『教団の皆のカルマを受けて、死刑囚として犠牲になろうとしている』と、偉大な殉教者扱い。こういった麻原信者100組織、合計6000人以上がもしつながれば、新たな『新生オウム』が誕生する。在家集団であっても、プラスチック爆弾ぐらいは作れる人材がたくさんいます。だって(サリン製造プラントがあった)第7サティアンにいた人だっているし・・・・」

 オウム、麻原死刑囚による血脈相承の事実を、我々はぜひ知っておかなければならない。

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