これまで潜伏していた「都議会のドン」が一気に浮上してきた。内田茂前自民都連幹事長(77)である。だが侮ることなかれ。熟練の寝ワザ師ぶりで、ひそかに暴利を貪っていたのだ。
「ブラックボックスだ」
7月6日、小池百合子氏(64)は都知事選の出馬会見で、自民都連の体質をこう批判した。さらに自身のツイッターで、
〈『都議会のドン』やひと握りの幹部による都政運営を改め、都民のための『東京大改革』を進めます〉
敵をあぶり出す小池戦法で明らかになった“ブラックボックス”の主が内田氏だ。政治ジャーナリストの藤本順一氏が解説する。
「故金丸信氏の秘書の秘書、いわゆる使いっ走りが政治家人生のスタートです。75年、千代田区議に初当選すると着々と力を積み上げ、98年に都議会幹事長になった。名をはせたのは05年、石原慎太郎元都知事(83)の腹心・浜渦武生元副知事(69)の答弁偽装騒動です。辞任を求める都議会側に対し、石原氏は譲歩を要求しました。この事態で、石原氏に膝を折らせたのが“都議会のドン”を公明党・藤井富雄氏(92)から引き継いだばかりの内田氏だった。以降、今日まで権力を拡大してきました」
8月24日、都内ホテルで開かれた内田氏の政治資金パーティ「政治活動40年を祝い励ます会」では、驚愕の光景が目の前に。
「開催が決定したのは都知事選敗退後。権威低下がささやかれていたにもかかわらず、会場には安倍晋三総理(61)をはじめ、森喜朗元総理(79)、菅義偉官房長官(67)、二階俊博自民党幹事長(77)、下村博文幹事長代行(77)、石原伸晃経済再生相(59)、丸川珠代五輪相(45)と多くの大物閣僚の姿が見受けられました。大手企業の幹部なども集まり、1000人以上が訪れていた。会費は原則1人2万円なので、この日だけで2000万円以上の政治資金を集めたことになります。年間1000万円以上を集める都議すら少ない中で、毎年約8000万円と、大物国会議員並みの集金力を誇っています」(全国紙政治部記者)
ドンの名に恥じない集金力を見せるが、その素顔はいかなるものか。さる自民党都議が語る。
「青年会など若手の会にも精力的に顔を出し、『キミたちが都政を変えるんだ』とひと言ひと言声をかける好々爺です。慕う人間も多く、ネガティブな一連の報道はガセと捉えている若手も数多くいます」
一方で、ベテラン秘書からはこんな声も漏れた。
「私が大物議員の秘書を務めていた頃は『何かあったら何でも言ってください』と言っていたのに、数年後、参院選の東京区から初出馬する候補の応援を頼んだところ、聞く耳すら持たれませんでした」
利用価値の有無で人柄が変わるという内田氏はその後、この秘書がしかたなく「都連に相談します」と告げると、
「俺が都連だ」
と大激怒したという。