混乱を極める一方の豊洲移転動乱。小池知事の「目論見」は何か? ジャーナリストの池上正樹氏が、都庁側の“転換点”を振り返る。
「90年代、東京都が臨海地区再開発に失敗したことで財政が悪化。築地市場は建て替えのための財源を確保するのに、敷地の売却益を当てにせざるをえなくなった。豊洲は移転候補の一つで、都では敷地が広く、都心から近いエリアという条件を満たしていたため、用地買収に踏み切ったと説明している」
移転ありきで進められた豊洲の土地買収。01年に東京ガスが土壌の汚染を発表したことから、仲卸業者などが「そんな危ない場所に移動するのはいかがなものか」と訴え出た。そのことが、現在までの移転反対運動につながっているのだ。
「小池氏は移転延期を打ち出したが、さすがに中止までは踏み込まないはず。本当に中止を決めれば、豊洲市場建設に費やされた5900億円の総事業費、858億円の土壌汚染対策費などが全てムダになる。そればかりか、移転を見込み、設備投資した仲卸業者からの違約金など、都の負債が膨れ上がることが予想される。過去の知事が進めた案件とはいえ、最終的には現職知事が賠償責任を取る自業自得のハメに陥ってしまう」(政治部記者)
となれば、小池知事の最終的な落としどころはどこなのか──。
「小池氏のウラの目的は、都議会のドン内田茂を頂点とする自民都連に揺さぶりをかけることです。本丸は豊洲移転の利権に巣食う族議員を駆逐すること。すでにゼネコンとの癒着問題で、東京地検が動きだしているとも言われています。 移転には、豊洲の土壌汚染や地下水の有害物質問題を避けては通れなくなった。とはいえ、現実には根本的な改修工事が難しい。小池氏が『有害物質が気化するおそれはなく、健康上の問題はない』など、安易に幕を下ろせば都民からの猛反発は必至。人気にもかげりが出てしまう」(前出・政治部記者)
みずから問題を「泥沼」化した小池知事。潮時の見極めこそ、小池都政の生命線となりそうなのだ‥‥。