9月10日、小池知事が緊急記者会見にて明らかにした地下空洞問題。会見で、
「いつ、どこで、誰が何を決めたのか明らかにする」
と憤った。
「地下空洞にたまった地下水からは、多様な有害物質が検出されている。環境基準値内ではあるものの鉛、ヒ素、六価クロムが検出された。20日には『検出された時点でアウト』と呼ばれる青酸カリの一種とされるシアンまでも見つかりました」(都議会議員)
「重金属のはなし」(中公新書)の著者で、東京農工大学環境資源科学科の渡邉泉准教授が、その危険性を解説する。
「六価クロム、ヒ素は土壌で分解されることなく、毒素が残り続けます。そもそも数値は雨量に恵まれた今年の夏での数字です。乾燥しやすい冬では余分な水分が蒸発し、濃縮されるため高い数値を示す可能性が非常に大きい。今、安全性を判断するのではなく、全季節で検査を行ってからにするべきでしょう」
しかしながら汚染物質は地下にある。地上の「豊洲産」水産物まで汚染し、それを食べる消費者への健康被害まで及ぶのだろうか。
「市場に滞在する時間が短いため、食品への危険性は低いでしょう。むしろ危険なのは市場労働者です」(前出・渡邉氏)
渡邉氏が注目するのは、発ガン性物質のベンゼン。建設前の08年、豊洲では、環境基準値の4万3000倍もの量が検出された。盛り土などの対策を施したものの、6月に都は建物内の大気が基準値内ながら汚染されていたことを発表した。
「盛り土の安全性について、約10年は大丈夫でしょう。しかし20~30年となるとわかりません。ベンゼンは揮発性が高い。盛り土があっても、高温になることで、容易に大気中に放出されます。日常的に吸い込めば、30~40年後、多くの労働者に深刻な健康被害が起こる可能性があります。理想的には、何らかの方法で、汚染源を根治するべきです」(前出・渡邉氏)
犯人捜しもさることながら、やるべきことは「安全」にあるようだ。