政治部デスクが語る。
「都が保有する最後の開発エリアと言われているのが、東京湾埋め立て地のお台場と豊洲。築地、勝どき、晴海、豊洲は川一本隔てて、隣のエリアになります。豊洲に新市場を移転することは、都市計画上では違和感はありません」
なぜこの土地が、しばらく注目されていなかったのか。それは故・青島幸男氏が知事を務めていた時代に遡る。
「というのも、青島氏は95年都知事選に出馬した時に、『世界都市博の中止』と『臨海副都心開発の見直し』を公約に掲げました。当選後、公約を実行したため、再開発が頓挫したのです」(前出・政治部デスク)
「青島だぁ」の置き土産で先送りされた湾岸エリア未開発トラブル。4年のタイムリミットを切った20年東京五輪に向けて、現在はインフラ整備が着々と進行している。
「この臨海地区から千駄ヶ谷に建設中の新国立競技場まで、まっすぐに延びている幹線道路が俗に『マッカーサー道路』と呼ばれる環状2号線です。完成すれば、晴海地区に建設予定の五輪選手村、バレーボール会場となる有明アリーナ、お台場のメディアセンターなどと直結することになる。ただし、この直線ルートを1カ所阻んでいるのが築地市場となるわけです」(政治部記者)
移転中止なら、競技場と選手村等をスムーズに結ぶルートが確保できなくなる。東京五輪の交通事情は、大混乱となるだろう。
「五輪誘致を目標にしていた石原都政は、東京五輪開催をベースに臨海地区の再開発計画を進めた。環状2号線も計画の一つで、『障害物』の築地移転が推進されました」(前出・政治部デスク)
揺らぐ豊洲移転問題に小池都知事が大ナタを振るえるか──28日からの都議会で激化することは必至である‥‥。