「豊洲移転」動乱で一躍名を上げたのが共産党だ。盛り土問題を指摘した小池知事に次いで、いち早く豊洲の地下水のヒ素などを検出したほか、その独自の情報網に注目が集まっている。
都政に詳しいジャーナリストが打ち明ける。
「ブラックボックスと揶揄される都庁が、外部に出す資料は“ノリ弁”と言われるほど、黒く塗りつぶされている場合が多い。きちんとした内部資料を得るためには、親しい情報提供者を確保するしかありません。持ち出し禁止の資料の場合、管理する職員が『ちょっとトイレ』などで席を外した合間に、あうんの呼吸で書き写したり、写真を撮ったりして、ようやく入手することができるのです」
秘匿情報の入手には、脱法リスクがついて回る。
「ところが共産党だけは、都庁の秘密書類をいともたやすく入手しているフシがある。どうやら東京都職員の中には党シンパの組合員が多く、そのため都庁の内部情報がダダ漏れになっているようです」(前出・ジャーナリスト)
共産党の情報網は都庁のみならず、爆心地の「卸売市場」にも張り巡らされているという。
「築地で働いている仲卸業者の中で、移転に反対している人には共産党支持者が多い。賛成しているのは自民党系で、実はここにも共産党対自民党の構図があるんです。今回の『豊洲移転』で、小池氏が情報を得ているのはこの反対派からだったと言われている」(都政担当記者)
しかし、この「地下シンパ」という情報源が、小池氏にとって諸刃の剣になる可能性もささやかれているのだ。「左派から情報を吸い上げた小池氏は、食と建物の安全性を完全に払拭しないかぎり、移転推進が難しくなった。もっとも都知事選で自民党に推薦されなかった恨みは、いまだ晴れていない。“都民ファースト”というキャッチフレーズどおり、小池氏の目線は自民党や安倍総理ではなく、世論にある。世論の追い風を集めている今こそ、移転中止に踏み切る可能性は十分にある」(前出・都政担当記者)
自民都連を追い詰めながら、いつの間にか四面楚歌とならなければいいが。