とはいえ、チョコレートに含まれる脂質(脂肪酸)は大いに気になるところ。
「確かにチョコレートの原料であるカカオマスは半分以上がココアミルクという脂肪成分でできているため、カロリーは高い。でもチョコレートに含まれるステアリン酸は体内に吸収されにくい性質を持っているため、肥満の原因にはなりにくいんです。脂肪酸は酸化されると変性しますが、ステアリン酸は酸化されにくい。チョコレートが長期保存できるのはそのためです」
まさに「太るお菓子」のイメージを根底から覆す、夢のような食品なのだ。
「先にも触れたように、チョコは間食にもってこい。例えば夕食が遅くなりそうな時、ひとかけら(5グラム程度)を口に入れると空腹感をあまり感じなくなりますし、昼食時に立ち食いそばで済ませなくてはならないという時などにも、まずはチョコをひとかけら食べるといいですね」
栗原氏が提唱するのが、「ベジ・ファースト」ならぬ「チョコ・ファースト」。
「今、流行している糖質ダイエットは、食物繊維の多い野菜から食べ、次に肉や魚を食べ、最後に御飯や麺を食べることで糖質の吸収を悪くさせて太らせないというものです。ただ、時には野菜が食べられないこともある。その際は野菜代わりにチョコをひとかけら食べる。一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ、というのが基本です」
さらに、酒飲みにお勧めなのがチョコをつまみにウイスキーを楽しむ、というヨーロッパスタイル。
「よく1日に2合くらいが最も健康だと言われますが、これはその程度の飲酒量なら、インスリンを分泌する働きをよくしてくれるからです。酒を飲んで太るというのは結局、つまみを食べすぎるからで、特にアルコールをたくさん飲むとつい糖質が欲しくなってしまうもの。確かに酒は高カロリーですが、体内に入るとすぐに燃焼されるエンプティカロリーでもあるため、血糖値はむしろ下がる現象が起こる。だから、たとえ糖尿病であっても、ダークチョコレートをつまみにウイスキーやブランデーを楽しむこともOK。ただし、2合までにすること。そのくらいなら休肝日を取る必要もありません」
なんと、断酒も休肝日も不要とはすごい話だが、
「糖尿病になると、ほとんどの医者は酒をやめなさいと言います。でも食べ物を制約されたうえ、酒まで禁止されたら、そのストレスのほうが間違いなく体に悪い。そんな時にこそ、チョコレートが役に立つ。高カカオチョコレートはいわば、万能のサプリメント。ぜひ習慣にしてもらいたいものです」
安い、うまい、体にいい。今日から「チョコレート健康法」を試してみよう。