社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「認知症予防には手作業が効果アリ。クイズや新聞の投書でも活性化!」

20161027y

「同居の母親に認知症の傾向が出てきました。3人の孫のうち2人の名前を忘れてしまったり、同じ話を何度も繰り返したりします。今はまだ元気ですが、80歳を超えており心配でなりません。認知症を予防したいのですが、いい方法がありましたらご教授ください」

 読者の方から、こんなお手紙をいただきました。

 認知症は進行するほど、家族の仕事・家事に支障を来します。例えば夜に起きだして冷蔵庫の中をあさったり、深夜徘徊をしだすと家族は睡眠不足に悩まされ、精神的にもイライラしてしまいます。

 今いる場所がわからない、自分が通った学校名を忘れた、食事をした記憶がないなどの「記憶障害」、アナログ時計の針を見ても時間がわからない、失禁してしまうなどの「見当識障害」、頭の片隅にある記憶をつなぎ合わせた結果の言葉=「作り話」(本人はウソだとの意識がない)など、一口に認知症と言ってもさまざまな症状があります。

 認知症と聞くと「高齢者の病気」をイメージしますが、64歳以下で発症する若年性認知症は男性に多い症状です。症状が進行すると、仕事やプライベートでの大事な用事を忘れてしまい、深刻な場合は予定を組んだことすら思い出せない、となることもあります。

 つまり誰でもなる可能性があり、いつなっても不思議ではないのが認知症で、家族にとってはやっかいな症状ですが、ここで問題です。

 私が認知症対策でオススメするなら「麻雀」と「クロスワードパズル」のどちらでしょうか。

 認知症予防のカギは「脳を活性化させること」です。脳の活性化には「指先を使う」のが重要です。中でも麻雀は「指先を使う」「役作りを考える」という2つの要素が脳に効果的な刺激を与えます。加えて、仲間内で小さく金銭を賭けるファミリーギャンブルも脳が活性化されます。仕事がまさしくそうであるとおり、人間はお金が絡むと頭を使うようにできている生き物です。

 90歳になるおばあちゃんで、毎日健康麻雀に興じる人がいます。ゆっくりと牌をツモってくる彼女の姿を見ていると、認知症とは無縁だと感じます。

 ペン(指先)を使う、頭を使うという意味ではクロスワードパズルもオススメです。考えて答えを書くクロスワードパズルは1人でできるという利点があります。今回は麻雀に軍配を上げるものの、クロスワードパズルも認知症予防にはかなり適しています。

 他にオススメできるのは「散歩」です。下半身を動かす散歩は「寝たきり」予防のほか、近所のおばあちゃんと会えば嫁の悪口で盛り上がるなど、うれしさや楽しさを生み出す「会話の機会」にも恵まれます。こちらは「気分転換」にもなるでしょう。

 体が思うように動かない場合は「作る・書く」がカギとなります。

 脳梗塞のリハビリ患者さんに「孫に手紙を書きなさい」と勧めたこともありました。手紙とは「考えて、字を思い出し、きれいに書く」という努力をします。

 加えて手紙を出すのに散歩がてら出かけるため、トータルリハビリとなります。手紙を出す相手がいなければ、新聞や雑誌、テレビ番組に投書するのもいいでしょう。

 その他、競馬や競輪、折り紙、俳句、将棋・囲碁、トランプゲーム、読書、ダンス、水泳、農園での野菜作りなど、認知症予防に効果のある遊びや運動、趣味はいくらでもあります。

 こうした生きがいにつながるような趣味を数多く持つほど、認知症にはなりにくいと思われます。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」
5
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」