事件

アサヒ芸能「スクープ大事件史」Vol.7(2)“文豪”三島由紀夫がぞっこん惚れた男

2016_60th_s

 この70年、国内外に衝撃を与えたのが三島由紀夫の割腹での自死だった。

 11月25日の午前11時前、みずから主宰する「楯の会」の若者4人とともに会の制服を着用して自衛隊市ヶ谷駐屯地に乗り込み、益田兼利総監を人質とすると、バルコニー前に自衛隊員約1000人を集合させて檄文をまく一方、憲法を改正し、自衛隊を国軍とするためのクーデターを呼びかけたのだ。三島はバルコニーからこう叫んだ。

「日本を日本の真姿に戻して、そこで死ぬのだ。生命尊重のみで、魂は死んでもよいのか。生命以上の価値なくしてなんの軍隊だ。いまこそわれわれは生命尊重以上の価値の所在を諸君の目に見せてやる。それは自由でも民主主義でもない。日本だ。われわれの愛する歴史と伝統の国、日本だ。これを骨抜きにしてしまった憲法に体をぶつけて死ぬ奴はいないのか」

 だが、隊員からヤジが激しかったため、演説はほとんど聞こえなかったという。絶望した三島は午後0時15分頃、会員・森田必勝とともに総監室内で割腹自殺をしたのだった。

 水曜日のこの日、編集部は企画会議の真っ最中だった。テレビのニュースで事件を知ると、記者ふたりとカメラマンが社を飛び出し、現場取材のうえ、特集記事をまとめたが、12月10日号で目を引くのは「三島由紀夫割腹自殺にもう1つの理由」と題する記事である。三島にぞっこん惚れ込まれたという元憲兵曹長の宮崎清隆氏(当時は鉄道弘済会本部職員生計所長)を探し出し、生前のエピソードをいくつも引き出している。

 ひとつは三島からこう言われたという話。

〈「はじめて会ったとき、あんたの目つきが恐かった。でも、こうして会っていると、グイグイ引かれる人間的魅力が、あなたにはある。あなたのような男になりたいなあ」〉

 お読みのとおり。これは同性愛の嗜好のあった三島由紀夫の口説き文句なのだ。果たして、彼は宮崎氏に「わたしは、いままで文学上の弟子は持たないことにしてましたが、あなたなら……」といったり、銀座の洋服店で15万円もする舶来のスーツをプレゼントしたり、アツアツだったという。

 ノーベル文学賞も取り沙汰された“文豪”の素顔がうかがえる逸話であろう。

 これに付記すれば、12月24日号に載った児玉誉士夫氏への「特別インタビュー」も一種のスクープといえよう。この右翼の“黒幕”はいう。

〈「自衛隊にクーデターを呼びかけて失敗したので、それに憤激し、かっとなって割腹自殺したと非難するものもいますが、三島氏の死は、底知れない深いところから発したことを知るべきでしょう。(中略)氏は自衛隊のむなしさ、そして自衛隊に呼びかけることばのむなしさを知りつつ、自分の鮮血によって『憲法改正』の必要性を訴えたものだと思いますね。心なき政治家どもは『気違い沙汰』とか『迷惑千万』とか心ない非難をしていますが、現在、生きている日本人のなかに、三島氏の死を非難する資格のある者がひとりでもいますか。もしいるとすれば、人間の良心と良識を失ったアホといわねばならん〉

 右であれ、左であれ、当時の日本人に多くの問いを投げかけたのが三島事件であった。

カテゴリー: 事件   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
大谷翔平「3度目のメジャーMVP」でもかなわない「凱旋帰国」の高すぎるハードルと「出禁」問題
2
大谷翔平「MVP受賞映像」で「真美子夫人の妊娠説」が噴出したワケ
3
なんだこりゃ!岡田将生の電撃結婚を「完全スルー」した「めざましテレビ」の担当は元カノ鈴木唯アナ
4
東京ドームで観客半分の「プレミア12」にサッカーファンが「シラケる」挑発バトル
5
マイルCS大的中の馬券師が断言!ジャパンカップ「勝つのはドウデュース以外の日本馬」「買える外国馬は1頭だけ」