「イエローサブマリン音頭」金沢明子
「ポールが立ち上がって拍手をしてくれたの」
ビートルズ結成20周年記念で1982年に発表された、あの名演「イエローサブマリン音頭」。制作秘話を金沢明子(57)が語る。
着想はピンク・レディーを発掘した飯田久彦さん、企画はビートルズといえばこの人という、音楽プロデューサーの川原伸司さん、アレンジはクレージーキャッツの編曲をやってらした萩原哲章さん、陣頭指揮が大瀧詠一さん、訳詞は松本隆さん。そうそうたる才能が集まってできたレコードだったんです。そして奇跡は、ビートルズの事務所がOKを出してくれたこと。企画書には「民謡とは日本の古典的な伝統文化でうんぬんかんぬん、それを歌う金沢明子はこれこれこうで‥‥」と、しかつめらしく書かれていたと聞きました(笑)。
録音の時は、大瀧さんが「もっとこぶしを回せ回せ」と言うんです。私はビートルズなのにダメ〜っ!!
と思いながら、握りこぶしして夢中で回したの。そしたら大瀧さんがずっこけた。笑い転げながら立ち上がって「おもしろいぜ、OK!」って。
当時は「ビートルズをバカにしている」との逆風もありました。ですけど、スタッフがポール・マッカートニーさんにハワイのホテルでお聴かせする機会があったそうで、聴き終わった彼は立ち上がって拍手してくれたと言うんです。その話を知って涙が出るほどうれしかった。私、ポールの垂れ目が色っぽくて大好きでしたから。ジョン? ジョンはいつもヨーコさんが隣にいるでしょ(笑)。
「イエローサブマリン音頭」は、今でもハワイ公演やアメリカ公演で歌うと、大ウケなんですよ。みんなが拍手したり踊りだしたり。やはり、ビートルズって偉大ですね。大事に歌い続けていきたい曲です。