鹿島アントラーズからスペインリーグ2部のテネリフェに移籍した、日本代表MF柴崎岳。昨年12月に横浜で行われたクラブW杯決勝でのレアル・マドリードから奪った2ゴールで、一躍その名を世界のサッカー界に轟かせたことは記憶に新しい。自他とも認める日本のエースMFにのし上がった瞬間だった。
そこからはとんとん拍子で、レアルやバルセロナも所属する憧れのスペインリーグへの移籍へと話は進む。ところが1月30日、国内では移籍確定と言われていた1部のラスパルマスとよもやの破談。鹿島へ逆戻りかと思われたやさき、本人の意思もあり2部リーグのテネリフェと契約となった。しかし、一度狂った歯車からか柴崎が「不安障害」に苦しんでいるという。
「日本の期待を背負って世界最高のリーグへと旅立った青年が一転、サッカー人生最大の危機です。慣れない気候や食事などの影響で6キロも痩せたという報道もありますが、要は自分の中で期待より不安が上回ってしまい、それに対処できず平常心でいられなくなる状態に陥っているようです」(スポーツライター)
これは柴崎の能力の問題ではなく、あきらかにメンタルの問題。サッカーに限らず、野球でもバスケでも海外からの移籍選手で直面しているアスリートは少なくない。言葉の壁もありチームメイトとのコミュニケーションも取れない。それによって能力を発揮できず、たとえ自国に戻っても“いい頃”に戻れないまま潰れていく選手も多い。
「テネリフェは公式サイトで柴崎が治療を受けることを発表しましたが、残酷な言い方ですが、一度貼られた“使えない外国人”のレッテルはそう簡単にはがせません。特に2部リーグは財政的な面からも多くの一流選手がいる1部と違い、個々への面倒見がいいとは言えない。それに、2部の選手には1人でもライバルが減ればいいというギラギラした連中も多い。もちろん柴崎には回復に努めてほしいが、今後はライバルたちが“レアルを苦しめた男”としてのリスペクトしてくれる可能性は低いと思います。温かい日本のファンは『ぜひ治して活躍してほしい』とエールを送っていますが、他リーグへの移籍、または鹿島からの出直しも早急に考えたほうがいい。結果論ですが、ラスパルマス移籍消滅の時点で一旦リセットすべきだった」(前出・スポーツライター)
日本代表のハリルホジッチ監督はそんな瀕死の柴崎を代表に呼ぶ気満々のようだが、召集に反対意見を唱えるファンも多い。
海外での適応能力まではピッチ上のプレーだけでは判断がつかないという最悪の例だが、日本サッカー界のヒーローが一転、暗黒の淵へ転げ落ちようとしている。
(佐々木たける)