現地時間2月26日に、映画の祭典「アカデミー賞」の授賞式が行われる。
なんといっても注目は「タイタニック」(97年)と並ぶ史上最多14部門にノミネートされた、LAを舞台にしたファッショナブルなオトナ恋愛ミュージカル「ラ・ラ・ランド」。全世界規模でいえば、392部門にノミネートされ184もの賞を受賞した鳴り物入りの“モンスター映画”だ。
このあまりの“前評判”に日本でも期待はMAXに膨らみ、24日の公開初日から、新宿などの都心のシネコンでは予約でほぼソールドアウトという大盛況ぶりだ。
「あまりに期待値が上がり過ぎていますが(笑)、それを抜きにすれば非常にシャレたミュージカルドラマ。特に日本の女性はミュージカルが好きですから、多くの人は満足できる作品だと思います」(映画専門誌ライター)
一方、世界であまりに多く受賞したため、アカデミー本番では作品賞を逃すのではという意地悪な声もある。それでも確実に受賞間違いなしと言われているのが、主演女優賞の“歌える”エマ・ストーン。ところがこの役、企画段階では「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニー役で有名なエマ・ワトソンが演じることになっていた。
「単館系でヒットした『セッション』の監督の2作目ですが、もともと大きなプロジェクトでなかったこともあり、ワトソン側がリハーサルの場所を指定するなど相当ワガママを言ったようです。もちろん、ワトソンが忙しいという理由が一番だったようですが。結局、ワトソンは企画から降り、同時に相手役の若手俳優も金銭面で折り合わず降板。こうした経緯でエマはエマでもストーンが抜擢され、彼女と共演を望んでいたハリウッド一の“モテ男”ライアン・ゴズリングがコンビを組むことになった。結果的にこれが功を奏しました。実はアカデミーのような“プライドの高い”映画賞は昔からアイドル俳優に非常に冷たい。あのレオナルド・ディカプリオでさえようやく昨年受賞にこぎつけたほど。“ハーマイオニー”のアイドル女優エマ・ワトソンではノミネートも怪しかったという声が多いですね。『ラ・ラ・ランド』のスーパー快進撃にワトソンが降板を悔やんでいるという報道もありますが、アカデミーが好きなタイプのストーンとゴズリングだったからこその高評価だと語る評論家は少なくありません」(前出・映画専門誌ライター)
アカデミーの受賞状況いかんで、日本での今後のヒット規模も大きく変わってくるだろうが、それは別として「これがエマ・ワトソンだったら?」と比較しながら鑑賞するのも面白いかもしれない。
(藤田まさし)