実は、選手からだけではなく、NPBや侍ジャパンの運営会社・NPBエンタープライズの中でも小久保監督の評判はよくないようだ。一説によれば、小久保監督の年間契約料は8000万円だという。
「かつて第3回大会まで行われたWBCで、侍ジャパンの指揮官を務めた3人の謝礼金はいずれもたったの『200万円』と言われています。それを考えれば、超破格の年俸です」(スポーツライター)
しかし、肝心の内容と結果が伴わない。13年9月に常設化された侍ジャパン監督就任のオファーを快諾してもらったまではよかったが、いざタクトを振らせてみると、監督どころかコーチ経験のなさが大きく響き、明るい話題がまったく聞こえてこない。試合での采配失敗ばかりか、ここにきて当人の悪評不評までもが次々と噴出し始めるありさまなのである。
ついにはこんな話までが──。プレミア12で屈辱の準決勝敗退に直面し、さすがにNPB側は重い腰を上げ、水面下で小久保監督の高すぎる年俸をカットしようと契約期間中としては異例の再交渉に臨んだ。ところが結局、NPBの主張は通らないまま“小久保の右腕”に押し切られてしまったというのである。
「小久保サイドから交渉役として出てきたのが、A氏という担当者だった。A氏はとにかく剛腕で、『契約も年俸も結ぶ時点でお互い承認し合ったのならば、最低でも現状維持にすべきであり、キチンと守るべきだ』などと血相を変えながら強硬に主張したんだよ。結局、NPBはその勢いに負けてしまった。小久保は何かと自分の窓口をA氏に任せているんだけど、彼の強気な交渉姿勢は球界内で警戒されているフシがある。結果的に一部の球界関係者の間で小久保自身が『契約するうえで何かと面倒くさい人間』とささやかれるようになってね」(球界関係者)
ではなぜ、NPB側はこの「何かと面倒くさい人間」の小久保監督を侍ジャパンに指揮官として迎え入れたのだろうか。
「小久保を監督候補として紹介したのが王さんだからだよ」(前出・球界関係者)
言わずもがな、第1回WBCで日本代表チームを初参加初制覇の快挙に導いた当時の監督であり、現在は福岡ソフトバンクホークスの会長を務めている王貞治氏(76)のことである。
その裏事情について、先の球界関係者が続ける。
「そんなレジェンドからの推薦ならば『まず間違いない』と思うのが当然でしょう。ところが、その後、NPB側が再度調査してみると小久保と王さんの関係は蜜月ではなく、実は微妙になっていることがわかった。いわく付きのA氏の存在をホークス幹部や王さんも気にしていて、小久保に対する見方もだんだん変わっていたんだよ。その昔、王さんが小久保のことをかわいがっていたのは事実だよ。でも、今は違う。だから王さんが小久保を侍ジャパンの監督に推薦した真の理由は単なる『押しつけ』か、あるいは『現実の厳しさを知って、頭を冷却させる目的での荒業』ともっぱら。いずれにせよ、小久保の将来的なホークス監督復帰も残念ながら王さんの存在が強いかぎり、難しいだろう。そう考えると今回で代表監督を辞めたら、今後の指導者人生はどこからもお呼びがかからないかもしれないね」