もはや彼を責める声は皆無かもしれない。
無傷の6連勝を飾るも22日の準決勝でアメリカに接戦の末、惜しくも敗れた我らが侍ジャパン。2失点どちらもエラーが絡むという、アウェーの日本にとっては皮肉な結果となったが、ジャパン野球が世界に十分通用することを改めて教えてくれた大会となった。
また、日本はWBCには強化試合で負け越して臨んだこともあり「史上最弱の侍ジャパン」とも呼ばれ、第1ラウンド&第2ラウンドでの敗退を予想していた意地悪な野球ファンも多かったことから、今回のベスト4という結果には世間の人々もおおむね納得しているようだ。
そして、今大会で株を上げた侍ジャパンのメンバーには、ここぞという場面で結果を出した筒香嘉智(横浜DeNA)や、幾度となく守備で日本のピンチを救った菊池涼介(広島)などが挙げられるが、株の上がり幅を考えれば一番評価が変わったのは、やはりチームを率いた監督の小久保裕紀だろう。
「監督はおろかコーチなどの指導者としての経験もなかった小久保。15年の『第1回WBSCプレミア12』やWBC開幕前の強化試合で成績が残せていなかったこともあり、侍ジャパンのメンバー発表には目もくれず、小久保叩きに走る人も多かった。それでも今大会では目立った采配ミスはなかったこともあり、純粋な野球ファンはもちろん、アンチも叩く余地がない」(スポーツ紙記者)
敗戦後のインタビューでも、小久保監督は「一発勝負でこれは非常に難しい戦いで選手は責められない」「開幕前にリスクがありながらこのユニホームに袖を通してくれた選手に感謝したいです」と、選手たちの頑張りを称えていたが、ネット上でも「よくチームをまとめあげてくれた」「いろいろ言われてたけど頑張った」「次回のWBCも是非お願いします」「小久保さん、辞めないで」と、これぞ手のひら返しといった小久保監督の称賛コメントがあふれたようだ。
「しかし、小久保監督は喜んではいないはず。やはり結果が全ての世界ですから、優勝どころか決勝戦にチームを導けなかったことも事実。勝てたのは地元の東京だけで、天然芝のメジャーのグラウンドで弱点を露呈したことは悔しかったでしょう。本人は『契約はここまで』と語っていましたが、一発勝負の怖さを知ったうえで、次回も監督を任せてみたいとファンが思うのも当然。毎回コロコロ変えていては、結局同じことの繰り返しになりかねませんからね」(前出・スポーツ紙記者)
今回で終わりと言われていたWBCもどうやら存続の可能性が高いだけに、批判を跳ね返した小久保ジャパンのリベンジを見てみたいのが国民の本音だろう。
(本多ヒロシ)
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