4月10日、フィギュアスケート選手の浅田真央が引退を発表したというニュースが日本列島を駆け巡った。翌日のニュース番組の多くはトップで扱い、突然の出来事に驚きと衝撃を隠せない様子だが、意外にもマスコミ関係者の間では「やっぱり」という反応も少なくなかったという。
「ニュースを見ていたら、街頭インタビューで皆一様に驚いていましたが、昨年末の全日本選手権の後には引退を考えているかもしれないと思っていましたし、業界関係者のそんなニュアンスも感じていました。やはり全日本選手権で成績を残せなかったのがきつかったですね。強化選手に選ばれない可能性が高いなかで五輪を目指すのは困難ですよ。国内の地方大会や海外の格下の試合で成績を残して全日本の出場権を得て、そこで表彰台クラスの活躍をして五輪に、というのは浅田選手なら実現してしまいそうなドラマチックな展開ですが、普通なら不可能に近い茨の道です」(スポーツライター)
フィギュアに詳しい女性誌ライターも、引退の予兆を感じていたという。
「シーズン終盤に発売されたフィギュアスケートの専門誌で、人気選手を網羅しているなかで浅田選手のインタビューが出ていなかったんです。売り上げにもつながる浅田選手を編集部側が外すわけはないですからね。この時期の取材に応じないということは、来季の抱負や進退について話せない事情があるのだと思いました」
発表前日に進退を聞いたという佐藤信夫コーチも取材に応じ、全日本以降はリンクに現れず、相談もされなかったけれど「そうなんだろうなと思っていた」とコメントしている。うすうす感じていてもマスコミが報じなかったのは、誰もが浅田の復活を信じたい気持ちがあったからなのかもしれない。
(芝公子)