──由伸監督はクルーズを昇格させる代わりにカミネロを落としました。
角 どう考えてもおかしい。
西本 驚いたよ。
角 昨年の逆転負けがリーグ最多の38試合と、リードを守りきれないのが巨人の課題だった。だからカミネロを獲得してマシソンと勝利の方程式を作ったのに。
西本 抑えがしっかりしたチーム作りをすれば優勝の可能性が高くなる。それを崩せば勝つゲームをなくすことにつながりかねない。
松本 実際に弊害が出てきてるよね。
──6月2日、カミネロ降格直後のオリックス戦では、8回からイニングまたぎで登板したマシソンが9回二死からまさかの炎上。3点差を追いつかれ同点、延長で力尽きました。
角 あれからズルズルと負けが続いてしまっている気がする。
西本 今の巨人は「こうやって勝つんだ」という形が見えてこない。野球というのは点を取れなくても与えなければ負けはないスポーツです。何がいちばん大事なのか考えないと、優勝を求めていくには厳しい。
角 打順を組み替えるとかやれることはある。例えば「2番坂本」にして、上位打線で1点を強引にとれるようにすべきだよ。(このあと6月8日の試合で、実際に坂本を2番に据えている)
西本 点を取るのは本塁打だけじゃない。作戦でも点を取れる。選手を信じて任せるのも悪くはないけど、エンドランをかけたり足を使ったりしてチャンスを広げていくべき。
角 巨人はそうした動きがなさすぎる。今の巨人は常に相手の守備9人に対して打者1人で戦っている。ここで1回でもエンドランを使っていくと、データに残る。そうするとバッテリーも考えて、打者に100%集中できなくなる。こういう動きがまったくないよ。格好よく言えばこれも「王道の勝負」だけど、無策といえば無策。
西本 重信(慎之介)も足は速いんだが、代走に出されてもスタートを切れない。
松本 巨人はサインで動いているはずなんですね。で、今の野球は「走ったらいけない」という時だけサインが出てる。
西本 聞いたら、状況に応じて選手に任せていると。
松本 選手は任されるとスタートを切れないんですよ。ここで背中を押すのがベンチの仕事です。
角 負けている時こそベンチがするべきです。選手も責任を感じてどうしたらいいのかわからなくなる。「選手はとりあえず自分のすべきことをやってくれ。あとは俺が全部導くから」、それぐらいのことを言わないと。選手に全部任せていては悪い流れが続くと一気に消極的になってしまう。最悪なことに、首脳陣も消極的になってしまっている。
西本 負けている時ほど表に出ていかなきゃいけない。結果を恐れないでね。
角 かわいい後輩ですがあえて言います。村田真一ヘッドコーチ、もっとアホになれ! 声を出してギャーギャー騒げよ! チームをもっと元気づけるためには監督と一緒にブスーッとしてたらダメ。誰が声出すんだ? 引っ張るんだ? 監督はできない。ならヘッドがやらなければいけない。