しかも、菅谷氏を巡っては、ここにきて、さらなる“余罪”が浮上しているのだ。債権者のAさんが怒りの声を上げる。
「昨年秋頃に、菅谷氏から空き家転売による不動産投資の話を持ちかけられました。当の菅谷氏は『1000万円預けてくれれば、年初には200万円の利息をつける』と説明しました。契約書もあります。この時代に、そんな利回りのいい儲け話があるとは半信半疑だったのですが、彼が弁護士として活躍していたのは知っていた。社会的な肩書を信用して、指定の口座に1000万円を振り込んだのです。まさか弁護士先生が人をだますとは‥‥」
菅谷氏から話を持ちかけられてから半年以上が経過するが、いまだAさんのもとに元金1000万円は返金されていないばかりか、菅谷氏本人とは連絡が取れない状況が続いているのだ。Aさんが続ける。
「3月に判決が出た7100万円の横領はニュースにもなったので、その報道を知り、すぐに菅谷氏に連絡したのです。すると、彼は極度の下痢や膵臓の疾患による体調不良などにより対応が遅れているが、必ず返金すると。しかし、その後は連絡がとだえてしまい、現在に至っているのです。弁護士会の窓口にも相談に行ったのですが、具体的な進展はありませんでした」
Aさん以外にも、同様の手口によりだまされた人はいるという。
「菅谷氏に不動産投資話を持ちかけられて、だまされたと訴える声は複数寄せられています。その中には、国民的アイドルグループの親族も含まれており、菅谷氏に数千万円を融資し、回収できていないようです。弁護士の不祥事を書き込むネット掲示板にも被害の声が多数届いています。すでに捜査当局が動きだしているという話もあるようです」(司法担当記者)
梅雨空の中、東京都中野区の閑静な住宅街にある菅谷氏の自宅を訪ねた。インターホンを鳴らすが応答はない。また、菅谷氏の自宅に電話をしたが留守電となっており、事実確認を求めるメッセージを残しても返答はなかった。
ところが、記者が菅谷氏の自宅を訪ねた数日後、一部の債権者らに宛てて、菅谷氏から次のような文書が届いたという。
〈現在、10件ほどの大型案件の売買契約締結に向けた交渉を行っており、決済日が決まったものから、その報酬をお支払いに充当させていただきます。(中略)一番決済が早いのは、世田谷区内、千代田区内のオフィスビル、横浜のホテルの案件であると思います〉
だが、木で鼻をくくったような文書について、Aさんは懐疑的だ。
「この半年間、ずっと菅谷氏は『返す、必ず返す』と言い続けてきたが、1円も返していません。そんな不誠実な対応に振り回され続けてきた私から言わせると、今回の文書も逃げ回るための言い訳にしか聞こえません。本当に返す意志があるのなら、今すぐに、直接私のもとに来て、謝罪の言葉とともに1万円でもいいから返してほしい」
こうした中、事態は新たな局面を迎えつつある。前出・司法担当記者が語る。
「一部の債権者は、菅谷氏が都内に所有する自宅の仮差し押さえ手続きを行うなど、債権回収に向けての動きを起こしている。また、すでに和解金の横領については、警察に被害届が提出されており、事実上、受理されています。警察は水面下で捜査を進めており、横領罪として立件に向けて証拠固めを行っている。警察は、菅谷氏の不動産投資詐欺についても把握しています」
今年1月29日、菅谷氏はフェイスブック上に、このような投稿をしている。
「I can still fight.(私はまだ戦える)」
おごれる者は久しからず。派手な有名人交遊と金満生活、そして女性との不純な関係という「蜜の味」が忘れられなかったということか──。