テレビ東京の報道番組「ゆうがたサテライト」のメインキャスターを務めていた進藤隆富氏が、20代ADにキスを迫るなどして番組降板になっていた。看板番組「ワールド・ビジネス・サテライト」のキャスター、ニューヨーク支局にも勤務した「エース社員」の失態だけに、局も頭を抱えているようだ。
社内での立場を利用して、女性を不快にさせる性的な言動をする「セクハラ」は、いまなお被害者が後を絶たない。東京都産業労働局に寄せられたセクシャルハラスメントに関する相談件数は、平成28年度1555件、平成27年度1198件、平成26年度1162件と、再び増加傾向にある。酔った勢いで、あるいは軽い気持ちから、途轍もなく大きな代償を払わされることもあるから要注意だ。
これまでのセクハラ裁判の判例を見てみると、レイプをされた、トイレを覗かれたなど、明らかに刑事告訴を免れないものが大多数を占める中、男側にしてみれば、「相手も満更でもないだろう」との思い込みや、親愛の気持ちで行ったであろう行為が裁判になるケースも目立つ。
例えば、日銀京都支店の女性社員が支店長と日銀を相手に起こした裁判。支店長は「仕事上の意思疎通を図るため」と女性社員をホテルに誘い、キスや体を触るなどの行為に及んだ。京都地裁は約670万円の支払いを日銀と支店長に命じている。
03年7月、静岡県のコンビニ店長はアルバイト女性にレジの打ち方を教える際、どさくさに紛れて尻や胸を触って55万円の支払いを命じられた。
04年7月、神奈川県厚木市では、記念撮影の際、女性職員を膝の上に座らせ「不貞しよう」と囁いた係長に220万円の支払い判決が示された。女子大生に膝枕を強要した島根大学の教授にも220万円の支払い命令が出ている。
ある社内での飲み会の後、酔った勢いでタクシー内で女子社員に強引にキスをして裁判に訴えられた会社重役が、失職したうえ、退職金5000万円も返納になったケースもある。
どの行為も「悪気はなかった」「嫌がっていると思わなかった」では済まされない。これがセクハラ男の「順当な末路」と肝に銘じたい。