「時代だって、由貴に染まる。」のキャッチフレーズで85年にデビュー(84年に芸能界入り)した斉藤由貴。32年の時を経て、いま、ワイドショーが染まっているのは何とも皮肉な話(とはいえ24年ぶり3度目ですが)。
85年といえば、「まだ誰のものでもありません」のキャッチフレーズでデビューした井森美幸は未だ特に浮いた噂もなく、初志貫徹している模様。
実に味わい深い、昭和アイドルのキャッチフレーズ。いざ、プレイバック!
●薬師丸ひろ子「ひろ子という字 何度ノートに書いたっけ」(78年デビュー)
角川映画のヒロインとしてデビューし「お父さん、怖いよ」「カ・イ・カ・ン」等が流行語に。
●酒井法子「おキャンなレディ」(87年デビュー)
いまやすっかり死語となった「おキャン」とは、「若い女性が活発で、軽はずみなこと」。あえて説明するまでもないが、その後「軽はずみ」では済まされない事態に。
●高橋由美子「20世紀最後の正統派アイドル」(89年デビュー)
デビューした89年は、未曾有の「アイドル氷河期」。おニャン子クラブが解散し、モーニング娘。の登場を待つ谷間の期間に、並々ならぬ期待を込めて送り出されたが、賞味期限を明示してしまったからか、99年をもって歌手活動を辞めるハメに。
●南野陽子「純だね、陽子」(85年デビュー)
当時、さんざん言われた「ワガママ報道」も一部、本人が認めている。「誰のおかげで飯が食えてると思ってんの!」と怒鳴られた当時のマネージャーも「まだ子供で純粋なんだ」と怒りを収めていたのだろうか。
●大沢逸美「ジャームス・ディーンみたいな女の子」(83年デビュー)
170センチの長身に短髪。80年代はユニセックスなイメージを売りにするタレントが多かった。彼女の場合、このキャッチフレーズよりも、ラジオで連呼された「大沢、イッツミー」のFM的語感にイラっとしたものだ。
●ほしのあき「ロリエロ隊長」(01年デビュー)
遅咲きのグラドルとして、このフレーズと共に一躍、頂点に。その後、突然1歳年をとったり、空気清浄機を1080円で落札したとブログに書いたりしたが、今では大けがを乗り越えた天才騎手・三浦皇成を支える良き妻だ。
●市川由衣「由衣緒正しきアイドル」(01年デビュー)
21世紀のフレーズにしては正統派すぎる感もあるが、「由緒正しき」の間に「衣」を挿入しているのがミソ。言葉遊びに走りすぎたためか、まったく浸透しなかった。
最近では、小倉優香の「リアル峰不二子」、浅川梨奈の「1000年に一度の童顔巨乳」など、ほしの以降は、グラビアのキャッチコピーをそのまま本人のキャッチフレーズにするパターンが主流。橋本環奈の「1000年に1人の逸材」も他者の評ではあるし、やはり味わいは薄い。
解釈を他者に委ねないキャッチフレーズを携えて世に出た昭和アイドル。数十年後に刺さるブーメランへの期待も込めて、復活を望みたい文化である。