稀勢の里(31)がよもやの3場所連続休場──。白鵬に代わって一時代を築くと期待された日本人横綱の“不在”は、盛り上がる相撲人気に水を差した。完全復活はいつになるのか。テレビや新聞が報じない「本当の症状」をつかんだ。
今年3月の春場所ではケガを乗り越えて逆転優勝を果たした稀勢の里だが、回復が進まないまま出場した夏場所を途中休場。続く名古屋場所では、5日目に左足首を負傷し、「左足関節靱帯損傷」との診断を受けて、またも途中休場となった。途中参加となった夏巡業でも、本来の調子は取り戻せず、秋場所参戦をまたもや断念する最悪の事態に。
東京・中野で整体治療院「ごっつハンド」を営む元小結の三杉里氏が言う。
「大関は出場することに意義があるが、横綱は勝つことに意義がある。稀勢の里の土俵を見ていると、どうも甘い。彼の相撲は左腕がポイントで、おっつけて差す。それができなければどうしようもない。それなのに、見切り発車的に出場して途中休場を繰り返し、足の靭帯まで痛めてしまった。こうなったら、年内は休んで徹底的に治して、来年の1月に勝負をかけてほしいですね」
二子山部屋で若貴の両横綱を見てきただけに、三杉里氏の「横綱診断」には説得力がある。確かに、ケガを軽視して出場にこだわり続けた結果が、この3場所連続休場だ。
好角家の漫画家・やくみつる氏が言う。
「足のケガはともかく、『上腕のケガは一生もの』と言う専門家もいました。だから、完治は難しいのか、休めば治るのか、本当のところが知りたいんですよ」
9月10日、相撲協会は稀勢の里の休場に際し、
〈左の上腕筋と大胸筋の損傷で約1カ月の安静を要する〉
との診断書を公表した。満身創痍と言われる現在の状態を角界関係者が明かす。
「やはり今年の春場所で日馬富士との対戦で痛めた左上腕周りのケガは、左おっつけを得意とする横綱にとって致命的。元のレベルにまで回復するにはまだ時間がかかりそうです。手術など、これといった治療法はなく、安静にして筋肉の細胞が回復するのを待つしかない状況だと言われています」
もっと前から割り切って治療に専念していれば、名古屋場所で足首を痛めることもなかったかもしれない。前出・三杉里氏が言うように、今年は残る九州場所も休場すべきだろう。