今年のノーベル文学賞を受賞した、長崎県出身の日系イギリス人作家、カズオ・イシグロ。
「彼は1989年に長編小説『日の名残り』でイギリス最高の文学賞『ブッカー賞』を受賞した作家で、現在もロンドン在住です。ただ上梓した長編小説の中には日本を題材にしたものもあり、ルーツを大切にしたいという思いが表れています」(ブックライター)
さて、そんな同氏が2005年に執筆したのが『わたしを離さないで』という小説だった。未読の方のために詳細なあらすじは書き控えるが、イギリスのある施設で育てられている子どもたちが、実は多くの人々を救うための重要な使命を担っていることがやがてわかる、悲しい物語だ。
だがこの作品、実は去年TBS系でドラマ化されていたことをご存じだろうか?
「綾瀬はるかを主演にした同名の連ドラです。原作の舞台を日本に置き換えて作られました。しかし現実味のない設定だったこともあり、平均均視聴率は6.8%。綾瀬の“黒歴史”となってしまったのです」(芸能関係者)
だが今、ドラマ化がされていたら、少なくともそこまで無残な数字には終わらなかったはずだ。
「主演の綾瀬は、イシグロ氏のノーベル文学賞の一報に祝福のコメントを寄せ、去年このドラマの宣伝のために渡英し、彼と4時間以上にわたっての対談に臨んだことを振り返っています。ただ、それだけに、今回のニュースを喜ぶ反面、ドラマ化もこれに合わせて作っておいたら…と胸中は複雑なんじゃないでしょうか。
さらに彼女の所属事務所のホリプロも『ドラマ化するのはまだ早かった』と思っていることでしょう。というのも、ドラマ化される2年前の2014年、ホリプロの企画制作で蜷川幸雄監督のもと舞台化されているのです。今、その関係者は『少し早まったか』と後悔しているはず」(前出・芸能関係者)
原作ものが相次ぐドラマ界。いかに早く映像化の権利を取り付けるかがポイントのようだが、タイミングを待ったほうが良いものもありそうだ。
(魚住新司)