10月10日、巨人は新しい1軍コーチ陣を発表した。だが、それまでに“一悶着”あったというのは、読売グループ関係者だ。
「実は、村田真一ヘッドコーチ(53)は、Bクラスに沈んだ責任を取らせる意味でもクビにする方針でした。ところが由伸監督が鹿取GMに『村田さんだけは残してほしい』と大反対。うるさいことを言わず、数少ない気が楽な話し相手なのでかばったのです」
当初は村田ヘッドの代わりに、鬼軍曹として知られる川相昌弘3軍監督(53)の昇格や、OBの仁志敏久氏(46)の入閣が検討されていたが、由伸監督は拒否したという。
「若手を畏怖させる川相3軍監督はもちろん、仁志氏も作戦参謀役にうってつけの野球の頭脳を持っているけど、ハッキリものを言うタイプだから敬遠されました。球団が折れる形になり、村田ヘッドを残す代わりに、OBの吉村禎章氏(54)を打撃総合コーチとして陣容に入れることで手を打ったのです」(前出・読売グループ関係者)
4位に低迷した責任を誰も取らないまま、村田ヘッドは留任どころか、バッテリー担当も兼務。吉村氏は6年ぶりに現場復帰したものの、読売グループ内で難色を示す声も出ていた。
「これまで打撃コーチや2軍監督の経験はありますが、愛人に手切れ金を渡す姿をキャッチされての不倫スキャンダルが報じられてクビとなり、復帰は許されないはずだった。原政権時代には、相手投手の狙い球がわからず、的確な指示が出せなかったこともあって、『のほほんコーチ』と小バカにされていましたからね。しかもこれで、1軍には打撃の肩書を持つコーチが二岡智宏コーチ(41)、昇格した小関竜也コーチ(41)とともに3人となり、過去にもありましたが、『誰の話を聞いていいのか‥‥』と育てるはずの若手が混乱するのではないか」(球団関係者)
それでも、新陣容は固まり、新たなスタートを切りたいところだが、由伸監督のもとでチームはすでに“空中分解”していたのだ。
「村田が自由契約通告された時、巨人ナインがショックを受ける一方で、由伸監督は『この世界では誰にでもあること』と、球団から寵愛を受けてきた自身のことを棚に上げて、冷たく言い放っていましたからね。選手時代からごく一部を除いて後輩の面倒を見てこなかったツケもあり、求心力は弱く、監督のために戦いたいという選手はほとんど見当たりません。引退した相川にも球団はコーチを打診しましたが、逃げ出すように、断られてしまった。選手起用でも好き嫌いが激しく、同じく引退した片岡は全然使ってもらえず、モチベーションが低下し、ジャイアンツ球場で練習するのに犬を連れてきていたほどです」(球界関係者)
今季は接戦での勝負弱さが目立った。1点差で負けた試合が27試合。いまだにやりたい野球が見えず、選手たちが戸惑う場面も多かったが、来季も体質が改善される兆しが見えない。
これまで巨人の歴代監督で優勝できなかったのは、2年間指揮を執った堀内恒夫氏(69)だけ。契約が切れる3年目の来季もBクラスなら、記録を更新する形での解任劇が断行されるだろう。西本氏は言う。
「今季は途中から鹿取GMになったが、『若手が育ってこない』という声が聞こえてくる。それでも選手を育てる環境を作るのがコーチ陣の役割ではないか。75年、監督1年目に最下位になった長嶋監督は親しいコーチ陣を刷新し、優勝を目指す厳しい環境を作ることで翌年リーグ優勝を果たした。また、私自身、長嶋監督にはビンタをもらったこともあるが、厳しさを見せるこでチームの士気を高めるのも指揮官の役割です。高橋監督はこの2年の失敗を逆手に、時に鬼となって非情の采配に徹することも必要ではないか」
やはり若手の育成はチームにとって必要。それでもカネに糸目をつけず補強してでも勝ちたいのが、由伸監督のホンネだろうか。