さらに、若手育成への回帰を標榜しても、その流れを断ち切りそうなのが、実績ある強打外国人たちの強奪である。
「今季の巨人の本塁打数はマギーの18本が最多で、20本以上打つ右の大砲が不在です。となれば、来季の去就が不透明な、35本でセ本塁打王の中日・ゲレーロ(30)、32本のヤクルト・バレンティン(33)は、喉から手が出るほど欲しい。ゲレーロは『野球はビジネス』と銭闘宣言し、中日の2年7億円の提示を蹴っている。すでにソフトバンクが参戦し、1年5.5億円の複数年契約まで競り上がったマネーゲームになります。現状3.3億円のバレンティンも2年以上の複数年契約が獲得条件となる」(スポーツ紙デスク)
このFA補強の大号令を下したのは、読売新聞主筆・渡邉恒雄氏(91)だという。球団関係者が明かす。
「なんでも『30億円使っても優勝できないんだから、もっと使え』というナベツネ勅命があったようです。どちらか1人どころか獲らばもろともとダブルで獲得すれば、若手選手が意気消沈するのは目に見えています」
若手育成は「フリ」だけ。第3の外国人大砲まで視野に入っているという。
「台湾で“第2の王貞治”と呼ばれる王柏融(ワン・ボーロン)(24)にも触手を伸ばしている。台湾ラミゴでは打率4割を超える強打者で、今年のWBC壮行試合で楽天・則本からバックスクリーン弾を放っています。巨人は6月から現地にスカウトを送り込んでいる」(巨人番記者)
4人の外国人枠さえ度外視すれば重量打線は完成するかもしれないが、不安のタネは尽きず、投手の主軸にも波及する。
「14勝をあげた三本柱の一人、マイコラス(29)の流出が現実となりそうです。すでにMLBの公式サイトが、レンジャーズが獲得に動いていることを報じているため、球団内では諦めムードが漂っています。鹿取義隆GM(60)は『どうしたらいいんだ』と頭を抱えていた。59試合登板したセットアッパーのマシソン(32)も日本好きとして知られていますが、今季に限って1週間の観光をしてから帰国している。最後の思い出作りだったのかもしれない。実際、子供にメジャーのマウンドに立つ姿を見せたい希望があるようです」(前出・巨人番記者)
先発の主軸が抜けるとなれば、今オフも“お家芸”に着手する流れだ。
「リスト筆頭は西武・牧田和久(32)です。本人はポスティングでのメジャー移籍が第一希望ですが、決裂すればFA権を行使する可能性が高い。やはりFA権を取得している日ハム・増井浩俊(33)ともども、先発でも抑えでも使えるため大枚を叩いてでも獲得に乗り出します。同じ日ハムの宮西尚生(32)も、今季外した森福の補填となる左リリーフとして狙っている」(前出・スポーツ紙デスク)
今オフも巨人の札束攻勢による“乱獲”で若手育成の話題はかき消されそうだ。前出・球団関係者が嘆きの声を上げる。
「ナベツネよりも野球に関してド素人の山口寿一読売新聞社長(60)がシーズン中から鹿取GMに『あいつを使え』と指示しているから始末に負えない。しかもシーズンを終えると、若手を育てるのが急務だと言いながら、勝つためには外国人をドンドン獲れと、どう考えても一度に実現できない要求をしており、もはやチームは迷走する一方です」