11年ぶりのBクラスに沈んだ由伸巨人。3年目の来季こそ“V奪還”に向け「若手を育てろ」と、生まれ変わるための掛け声だけは勇ましい。しかし、大金をつぎ込む金満補強のお家芸が同時に進行。矛盾だらけの全内幕をスッパ抜く!
今季の巨人は「30億円大型補強」で臨むも、開幕ダッシュに失敗。6月には球団ワーストとなるドロ沼13連敗、さらには7月、山口俊(30)の泥酔暴行事件まで発生し、あげくの果てに11年ぶりのBクラス落ちという屈辱を味わった。
巨人OBのプロ野球評論家・西本聖氏が今季を振り返る。
「巨人が初めてCS進出を逃したことは非常に残念です。2年目の高橋由伸監督(42)は必勝を期して補強を行ったが、その補強ポイントがズレていたのではないか」
1年目の2位惜敗を教訓に今季は「センターラインの強化」として日本ハムの陽岱鋼(30)、「先発ローテ」にDeNAの山口、「左の中継ぎ」にソフトバンクの森福允彦(31)をFAで獲得したほか、マギー(35)、カミネロ(30)など2人の外国人が加わるなど、補強費は推定30億円にも拡大した。
西本氏はこの補強策に疑問を呈するのだ。
「16年は坂本勇人(28)が首位打者となったが、チーム1位の81打点を叩き出したのは村田修一(36)です。ところが、今季開幕は新外国人のマギーを三塁スタメンに据え、村田はベンチスタート。投手に置き換えれば、稼ぎ頭の菅野智之(27)をブルペンに置いて先発ローテを組むようなもの。弱い部分を穴埋めしてこその補強だが、チーム分析が甘かったのではないか」
今シーズン終了後、球団はこの村田に戦力外を通告、さらに片岡治大(34)、相川亮二(41)などいずれもFAで加入した外様のベテラン野手をバッサリ切り落とした。一方で、チームは秋から生え抜きの「若手育成」に重い腰を上げるという。
由伸監督の「強化指定」候補にあがった若手が、岡本和真(21)、宇佐美真吾(24)、山本泰寛(24)、吉川尚輝(22)、重信慎之介(24)の5人だ。
ベテラン巨人番記者が内情を明かす。
「特に15年ドラ1入団の岡本は、今季は『7番レフト』で開幕スタートしましたが、結果を残せず、わずか1カ月でファーム落ち。育成するのであれば来季こそ本来のサードでレギュラーを競わせたいところですが、由伸監督はいまだに『サード以外に一塁も外野もある』と方針がブレている。ポジションすら決まらないため本人のグラブも定まらないようです」
同じく3年目の捕手・宇佐美には、小林誠司(28)が打率2割5分をキープできれば正捕手として固定するため、コンバート案が浮上している。
「来季フル出場を望めない阿部慎之助(38)を兼任コーチとし、代打に専念させて宇佐美を一塁にコンバートするプランが出ている。が、11月からの『アジアプロ野球チャンピオンシップ』に捕手で招集されており、はたして開幕までに急造一塁手が間に合うかどうか」(前出・巨人番記者)
この「強化」プランにはスポーツ紙デスクも懐疑的だ。
「ジャイアンツ球場で行われている秋季練習で由伸監督は『1.5倍スイング』を掲げて打撃力アップを図っている。その数字の根拠は、チーム本塁打数の約1.5倍が広島の本塁打数に匹敵するからという単純なものだから驚きます。そもそも秋季キャンプで若手を鍛え上げるといいますが、本来なら就任1年目でやるべきことで、優勝を義務づけられた3年目の集大成としてやる話ではないのですが‥‥」
西本氏はこう語る。
「秋のフェニックスリーグでは岡本が三塁で出場し、本塁打も放っている。とはいえ、来季再びマギーを三塁に戻せば、岡本は出場の機会がなくなる。また、二塁で使えば今度は吉川がハジかれてしまう。せっかく若手育成の方針を打ち出しても、どこまで選手を我慢して使えるのか‥‥」
しかも、結果を出す前から持病の“欲しい欲しい病”を発症しているのだ。