食事を減らし続ければ、肉体的にも精神的にも大きなストレスになるのは当然のこと。千木良医師も食事のコントロール法について調べてみたところ、まず、「朝食を食べる必要があるのか?」という疑問に行きついたというのである。
「歴史を調べてみると、江戸時代までは基本的に1日2食だったようです。午前中に畑仕事をしてから遅めの昼食をとり、少し昼寝したら午後にまた畑仕事をして、眠くなってきたら家に帰って夕食を食べる。人はそんな生活をずっと続けてきたわけです」
しかもその1日2食の生活では、ダイエットの面でも大きな効果が見込めるというのだ。それは、体内にため込んだ脂肪を主に肝臓で糖質に変換する「糖新生回路」をフル稼働させることができるからだという。
「糖新生回路を動かすためには、体を飢餓状態に持っていく必要があります。少しでも糖質が入ってくると、糖新生回路が止まってしまうからです。では、どうすれば手軽に飢餓状態を保てるのか。その答えが『朝をしっかり抜く』こと。寝ている間にも体内の糖質は消費されますから、朝になれば誰でも自然と飢餓状態になっている。この状態を朝食を抜くことにより維持できるというわけです」
なんと朝食を抜くだけで、全ての人間が備えている「糖新生回路」をフル稼働して痩せられるというのだ。朝食をしっかり抜くと、人にもよるが1カ月で2キロ程度のダイエットが期待できるという。これなら特にツラい思いをすることなく、誰でも今すぐに始めることができそうだ。
また、昼食や夕食ではつきあいや接待もあり、自分の都合だけで抜くのはなかなか難しい。それが朝食ならほとんどの人は自宅で食べるので、朝食を抜いても誰にも気づかれず、迷惑をかけることもないのはうれしいところだろう。
ちなみに千木良医師は、地元・西荻窪の信用金庫や法人会などで、みずから考案したダイエット法について何度も講演会を行っており、それを聞いて自分でも実践してみた人が少なくないという。著書「西荻式ダイエット」でも複数の成功者が紹介されており、30代女性や50代男性など、その属性はさまざま。性別や年齢に関係なく実践できることを証明した形だ。