日本を含めた環太平洋火山帯上の火山が活発化しているという情報が続々と到着。これらがもし実際に大噴火すれば、日本にどのような影響が起きるのか?
今年9月、南太平洋の島国バヌアツのバンエア島で火山が噴火するおそれが高まり、全島の住民が避難する事態となった。ほぼ同時期に、リゾート地として知られるインドネシアのバリ島でも火山噴火の兆候が確認され、13万4000人余りが避難した。
国内では、5月に小笠原諸島の西之島が1年5カ月ぶりに噴火を再開。先月には、宮崎県と鹿児島県の境にある霧島連山の新燃岳が6年ぶりに噴火し、今なお警戒態勢が続いている。
この傾向ははたして偶然なのか。「富士山大噴火と阿蘇大爆発」などの著書がある神戸大学海洋底探査センターの巽好幸教授は、
「それぞれの活火山の下にはマグマを供給して噴出する『システム』が固有に存在しており、火山の根っこがつながっているわけではない。したがって、ある火山の噴火が近隣の火山の噴火につながることはありません。ましてや、バヌアツ、バリの噴火が5000キロ以上離れた日本に呼応することはない」
としつつ、次のように指摘するのだ。
「日本は世界で最も活火山が密集する火山大国であり、いつどこの火山が噴火してもおかしくありません。11年の東日本大震災の影響で、東北から関東地方にかけての地盤は引き伸ばされた状態にあり、マグマの活動が活発化する可能性もあります」
環太平洋火山帯での噴火多発を受け、最近、あるデータの存在がひそかにクローズアップされている。英国・マンチェスター大学のアルバート・ザイルストラ教授(地球物理学)が火山愛好家らの協力を得て発表した「世界の危険な火山トップ10」がそれである。
リストの選出にあたっては、100年以内に噴火のおそれがあり、かつ局地的破壊力が想定される火山という基準が用いられており、そのランキングの第1位に日本の硫黄島(東京都小笠原村)、第4位に阿蘇山(熊本県)が登場しているのだ。
しかも、そこには「硫黄島噴火の際には高さ25メートルほどの大津波が日本列島や香港を襲う危険がある」と記されている。25メートルといえば、最大21メートルだったとされる東日本大震災での津波を上回る破滅的規模である。