九州電力は電源喪失という事態にどう対処するのか。同社広報グループはこう答えた。
「弊社は、桜島が噴火し、原発敷地内に15センチ降灰しても安全を確保できます。それだけ降灰するということは、原発周辺の電線が切れ、外部電源を喪失します。しかし、非常用電源で対応できるのです」
では、非常用電源は何で動くのかと聞くと、ディーゼルエンジンだという答えが返ってきた。
「ディーゼルエンジンに燃料を補給しようにも、道路は寸断され、補給できなくなる可能性が高い。もともと桜島が大噴火するという事態は想定していないんです」(防災ジャーナリスト・渡辺実氏)
姶良カルデラが噴火した時は、火砕流が80~100キロ先にまで到達したという。ということは、もし姶良カルデラが噴火すれば、わずか52キロ先の川内原発など飲み込まれてしまうのである。参考までに言えば、鹿児島市から90キロ南にある喜界カルデラが7000年前に噴火した際は、九州南部に住んでいた縄文人は全員死に絶えたという。
神戸大大学院・巽教授はもしカルデラ噴火が起きれば、火砕流や降灰の影響で「1億人が生きていけなくなる」と不気味な予測をしている。
そうした大噴火に対し、九州電力が講じる対策はというと、
「まず原子炉を停止させ、核燃料などを移動させます」(広報グループ)
火砕流は100キロのスピードで襲ってくるというのに、何とも悠長なことをのたまうのだ。要するに「想定外」。この事態を想定していると、再稼働などできなくなるからだ。
武蔵野学院大・島村教授も言う。
「九電は数十年から100年前に噴火の前兆は出ているから十分対応できる、と言っているが、そんなことを信じている火山学者なんてほとんどいませんよ。原子力規制委は、原発の司令塔とも言うべき免震棟も完成させないまま再稼働させた。ひどすぎます」
このままでは川内原発が「第二のフクシマ」になることは目に見えている。そうなれば、偏西風に乗って日本の国土が放射能に汚染され、被害は全国に広がってしまう。それでも、原子力規制委や九州電力は「想定外」だったと弁明して、責任を逃れるつもりなのかもしれない。
安倍総理よ、あなたは日本を消滅させる気なのか。