日本有数の保守県なら反対運動も盛り上がるまいと思ったのか。安倍政権は鹿児島・川内原発の再稼働を強行したが、大噴火の兆候が出ている桜島をヨソに、自然の猛威をナメているかのような対策不足。これでは福島第一原発の悪夢が再び舞い降り、日本は放射能地獄に襲われよう──。
川内原発運転開始直後の8月15日朝から桜島に急激な山体膨張が観測され、火山性地震も増加。気象庁は噴火警戒レベルを避難準備の「4」に引き上げた。
8月19日未明には、小規模な噴火が起こる。噴火警戒レベルを3から4に引き上げてから桜島で噴火が確認されたのは、これが初めてだった。社会部記者が言う。
「鹿児島市は桜島ふもとの3地区51世帯77人に避難勧告を出し、住民は無事に避難しました。市内は緊迫した空気に包まれています。京都大火山活動研究センターの井口正人センター長は、噴出物で蓋をされた状態の火口を、ドローンを使った上空からの撮影で確認。『火口はほぼ閉塞状態で、内部の圧力が高まって爆発力が増している』と話しました。また、台風が接近していることについて、台風は低気圧なので、気圧の変化がマグマに影響し、噴火が起こりやすい状況になる』とも語りました」
桜島噴火の歴史を見ると、過去にはいったん活動が落ち着いたあとに爆発に至ったケースがあるとして、井口氏は、
「むしろ、噴火に近づいたと考えたほうがいい」
と記者団に述べたのである。
では、桜島の噴火はいったいどのような規模になるのか。地震学者で武蔵野学院大の島村英紀特任教授(地球物理学)の解説を聞こう。
「火山の噴火が起こる前にその規模を予測するなんて当たったためしはありませんが、今年に入って1000回以上の小規模噴火が起こっています。これから起ころうとしている噴火はもちろん、それを大きく超える可能性のある爆発的噴火です。桜島は3万年前、(鹿児島湾の北部を構成する)姶良(あいら)カルデラがカルデラ噴火を起こし、その3000年後、カルデラの南端に桜島ができました。そういう歴史があるだけに、カルデラ噴火が起きないとは断言できない」
カルデラ噴火とは、地下のマグマが一気に地上に噴出する破壊的な噴火のことであり、カルデラは火山活動によって形成された凹地である。このカルデラ噴火の恐怖について、島村教授は海外の例をあげてこう説明する。
「西インド諸島マルティニーク島にあるモンプレー火山は1902年に大噴火を起こし、3万人が住むふもとの街、サン・ピエールを全滅させました。300度の高温に達する火砕流は時速100キロ以上の速度で流れ下る。あっという間の出来事だったと思います」
神戸大大学院の巽好幸教授(地球科学)は昨年、カルデラ噴火が起こる可能性を「100年で1%」と発表した。そう言われてもピンとこないが、巽教授は「阪神・淡路大震災が起きる前日の時点で、30年以内に阪神・淡路大震災が起きる確率」と続けたのだ。
つまり95年の阪神・淡路大震災が起こった現実と変わらないレベルにあるということだ。