大相撲の横綱・日馬富士が前頭8枚目の貴ノ岩に暴行を加えていた一件で、一部の相撲ファンからは「日本から強制退去させろ!」との声も出ているようだ。日馬富士など外国人力士には「興行」名目での就労ビザが必要で、日馬富士も興行ビザを所有しているはず。このビザが今回の事件によって剥奪される可能性について、ビザ事情に詳しい週刊誌記者が語る。
「力士の場合、日本相撲協会と入国管理局の取り決めにより、興行ビザの取得や更新がスムーズにできるようになっています。しかし今回のように本人が事件を起こした場合は、その後の展開次第では『在留資格の取消し』、つまり退去強制に発展する可能性があるのです」
入管法(出入国管理及び難民認定法)の「24条三の五リ」では、無期または1年を超える懲役に処せられた者は、日本からの退去を強制できると定めている。つまり日馬富士の暴行が立件され、裁判で懲役1年以上の有罪判決が出た場合には、日馬富士には日本にはいられなくなるということだろうか。
「ただし同法では『執行猶予の言渡しを受けた者を除く』を規定。つまり日馬富士にとって運命を分けるのは有罪かどうかではなく、執行猶予がつくかどうかにあります。傷害罪で裁判まで至る場合は懲役刑になることが多いのですが、初犯の場合は執行猶予が付くことも多い。日本相撲協会が日馬富士の監督・更生を保証すれば、執行猶予の可能性はさらに高まるでしょう。そうなれば日本からの退去を強制されることはなくなります」(前出・週刊誌記者)
とはいえ、有罪判決を受けた場合、大手を振って相撲関連の仕事に就くのも難しいはず。本人は母国で警察官の資格も取得しており、モンゴルに自発的に帰国する可能性もあるのかもしれない。