今季シニアデビューのアリーナ・ザギトワ選手が女子シングルの女王の座を奪って、大いに盛り上がった平昌五輪のフィギュアスケート。日本からも今季シニアデビューの坂本花織選手が出場したが、並み居る強豪を抑えて6位入賞と大健闘を見せた。しかし、その活躍が3月21日に開幕する世界選手権に出場する樋口新葉選手にプレッシャーをかけるのではないかと不安視する声がある。
「五輪の出場枠を最後まで争った樋口選手と坂本選手。スケート連盟は難しい選択について、ロシアのメドベージェワ選手、ザギトワ選手やイタリアのコストナー選手、カナダのオズモンド選手、デールマン選手、そしてエースの宮原選手と、表彰台争いの激しい平昌五輪には、経験を積ませることだけではなくその勢いを重視して坂本選手を選出したのだと思います。一方、来シーズンの出場枠に関わる世界選手権には今季高得点を出していた樋口選手を、より確実な2枠獲得のために投入したのだろうと思われます。結果としては坂本選手の大活躍によって、平昌五輪はスケート連盟の思惑以上の大成功を収めました。その活躍が、樋口選手にプレッシャーをかけることになるんじゃないでしょうか」(スポーツライター)
2月22日から25日にオランダのハーグで開催されていたチャレンジカップには、樋口選手と本郷理華選手、本田真凜選手が出場。樋口選手は優勝したものの、その総合点は平昌五輪で坂本選手が出した得点を下回っている。
「世界選手権はその結果で翌年の世界選手権やオリンピックの出場枠が決まります。出場人数が2名の日本は順位の総合ポイントが13ポイント以下でないと3枠を獲得できません。昨年はエースの宮原知子選手が欠場し、三原舞依選手が5位、樋口選手が11位で16ポイントとなり、五輪の出場枠が2枠になってしまったのです。今季は五輪と同様の順位で、宮原選手が4位になれたとしても、もし樋口選手がまた10位以下だったら、14ポイントで3枠は取れません。坂本選手が出場して五輪と同じ6位になれるのなら10ポイントで3枠を獲得できます。坂本選手が世界選手権にも出ればよかったのではないか、などという声が出てきてもおかしくはありません」(前出・スポーツライター)
もっとも、チャレンジカップで樋口選手が優勝した際の総合得点は、坂本選手に及ばなかったといっても堂々の203.94。五輪の順位で言えば7位に当たる成績で、樋口選手は今シーズンすべて200点超えなのである。樋口選手には、ぜひともベストを尽くしてもらい、五輪を逃した悔しさを世界選手権で晴らしてほしい。
(芝公子)