フィギュアスケートの坂本花織が神戸野田高校の卒業式を終え、4月からは女子大生となる。式を終えた後の会見では「結構泣いた」「3年間、みんなの笑顔に支えられて、つらい時も乗り越えられました」と充実した学園生活の様子を語っていたが、その実態は他人には真似できないものだった。
「そもそも、坂本が入学した経緯からしてヘンなんですよ。高校入試の時期、坂本はフィギュアスケートの国際試合に出場するため、日本にはいませんでした。帰国し、慌てて受験できる高校を探したら、神戸野田校だけ二次募集をやっていたんです」(フィギュア関係者)
同校はクラブ活動が盛んな高校とも言われている。ダンス部は特に有名で全日本高校ダンス・フェスティバルなどで全国制覇も成し遂げている。ソフトボール部、バレーボール部も強豪で知られるが、学校側は「平昌冬季五輪の出場を目指す坂本が来た」ということで、緊急でフィギュアスケート部を新設したそうだ。とはいっても、坂本は強化指定選手なので、学校で練習することはゼロに等しい。スケートリンクもない。
今春の卒業と同時にフィギュアスケート部は廃部になるとの情報も駆け巡っており、そうなれば、坂本は「創設者にして破壊者」という不思議な立場になる。
「坂本は教室内に友人が多いようです。スポーツ系の部活に入っている子も多いので、同じ体育会系で話は合うみたい。同時に、フィギュアスケートのことを忘れることができるので、気分転換できて、リラックスできたのでは」(前出・フィギュア関係者)
坂本は新しいタイプのアスリートとも言えそうだ。平昌冬季五輪の代表が決まった時のことだ。リハビリ中の羽生結弦を除くメンバーは日本選手権の会場でお披露目の挨拶をした。その際、坂本はトップで紹介されることを知り、「どうしてよう?」と言葉ではうろたえていたものの、緊張感を楽しむ強さがあったという。国際大会の大舞台でも同じであった。女子大生になって迎える新シーズンも、「破天荒な一面」を見せてくれそうだ。
(スポーツライター・飯山満)