社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<食中毒>「発症場所は家庭が急増」

 気温も湿度も高い時期に最も多く発生する食中毒。

 食中毒といえば、近年「病原性大腸菌O-157」が猛威をふるっている。加熱が不十分な肉類などが主な感染源となり、潜伏期間は2~3日が一般的。鶏や牛、豚などが原因の「カンピロバクター」は1~7日(平均は2~3日)、生肉・生卵などの「サルモネラ菌」は12~24時間。カキなどで知られる「ノロウイルス」も、1~2日の潜伏期間だ。

 激しい下痢や腹痛、嘔吐、発熱などの症状が起きる。

 つまり、細菌性やウイルス性の食中毒の場合、直前に食べたものより2~3日前に食べたものが原因となるケースが多い。

 一方、サバやイワシなどに寄生するアニサキスなどの寄生虫の場合は、数時間で激しい腹痛や嘔吐が発症する。

 近年、食中毒で増えているのが、鶏肉を中心とした「カンピロバクター」。理由としては、牛レバーや豚の生食提供が法律で禁止される中、鶏肉はレバーや半生状態で食べる機会が増えたことが推測されている。

 また、意外に多い発症場所が家庭での食事 。まな板などを介して菌が他の食材に付着することが多いので、肉と野菜を切るまな板は分別し、食材を切ったらそのつど洗う、などの注意が必要だ。また、肉は中まで十分に加熱すること。

 食中毒になる人・ならない人には当然ながら、食べた量の差が影響している。加えて、免疫力の個人差も大きく、乳幼児や高齢者、持病がある人などは重症化しやすいと言われているので注意が必要だ。

 ちなみに、「一度アタッたら、その食材を食べられなくなる」と思い込んでいる人もいるが、心配は無用。例えば、カキやサバなどを食べて嘔吐、じんましんの症状が出たら、むしろ食中毒ではなく、その食材に対するアレルギーを疑ったほうがいい。ぜひ検査をおすすめする。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<老人性乾皮症>高齢者の9割が該当 カサカサの皮膚は注意

    330777

    皮膚のかさつきを感じたり、かゆみや粉をふいた状態になったりすることはないだろうか。何かと乾燥しがちな冬ではあるが、これは気候のせいばかりではなく、加齢による皮膚の老化、「老人性乾皮症」である可能性を疑った方がいいかもしれない。加齢に伴い皮膚…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    327330

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    326759

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「縦回転にせよ」田中将大をアッという間に巨人で蘇らせた久保康生コーチの「魔改造」スゴイ実績
2
ついに辞任要求が出た「ドン・日枝久」の処遇でフジテレビ社員が恐れる「やってはいけない愚策」
3
超異例の「サザエさん」まさかの番組予告と「フジテレビ中居問題」意味深すぎるタイトル3本
4
「十字靭帯の大ケガ」春場所で三段目から復帰の朝乃山が「相撲を続けねばならない深刻事情」
5
夫が急死した小島瑠璃子に「まさかの一報」をぶつけたフジテレビの大チョンボ