新型コロナウイルスの影響でテイクアウトを利用する人が増えている。そこで気をつけたいのが食中毒だ。
農林水産省は公式ツイッターで「気温が高くなると、食品に潜んでいる菌が増えやすくなり、食中毒の危険性も高くなる」「テイクアウトによる食中毒予防の3原則」=「つけない」「ふやさない」「やっつける」と警鐘を鳴らしている。
本来、中食である弁当製造店では、開発段階から菌の増殖抑制を意識した具材や調理方法、詰め方などを考え、マスク、手袋、帽子の着用など、従業員への衛生教育を徹底している。食材ごとに、まな板などの機材を変え、そのつど、洗浄・消毒を行っているのが大原則。それに対し、コロナ禍で外食から中食に新規参入する場合には、そのノウハウや指導が十分でない場合がある。
購入者が注意すべきは、食前に必ずきれいに手を洗うこと、食品を小皿などに小分けにする時は清潔な箸やトングを使用。さらに菌を増殖させないため、テイクアウト食品を長時間持ち歩かないことが大切だ。持ち運びの際には保冷パックなどを利用すること。また、帰宅後は早めに食べきり、時間を置く場合は小分けにして冷蔵庫保存することが肝要だ。
ちなみに、細菌性やウイルス性の食中毒の場合は、直前に食べたものが原因であることはむしろ少なく、2~3日前に食べたものが多い。
加熱が不十分な肉類などが感染源となる「病原性大腸菌O-157」の潜伏期間は2~3日。生肉・生卵などによる「サルモネラ菌」は12時間~24時間、カキなどで知られる「ノロウイルス」は1~2日で発症する。
特に夏場は細菌性の食中毒が多く、栄養・水分・温度の三条件がそろうと危ない。30~40度の条件下では最短10分で菌が増殖するとも言われているのだ。時節柄、テイクアウトが多くなるが、これらを踏まえて利用したい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。