さて、野球道を極めるにはこれ以上ないようだが、グラウンド外の生活は“奴隷契約”なのだから想像もつく。それこそ「禁欲」を強いられる“マイナーレベル”のようだ。
「キャンプ時に大谷が移動に使っていたレンタカーは、過去の日本人メジャーリーガーではありえなかった韓国のヒュンダイ車だった。取材記者たちよりも格落ちの車種ですよ。通常のメジャー契約では、キャンプでのレンタカーやコンドミニアムの料金も盛り込まれるのですが、マイナー契約でスタートした大谷は全て自腹ですからね。食事についても球団が用意した栄養士が付いてはいるものの、なんでもコックが調理して1週間分をタッパーの中に詰めたものを渡される。大谷は毎朝、冷凍されたそれをチンして食べているそうです」(現地ジャーナリスト)
だからといって、夢を選んで海を渡った若きサムライは、派手な生活をまったく求めていない。
「大谷は金に執着がないらしい。私服は毎日、安そうなジーンズにTシャツ姿で、靴は契約メーカーのアシックスから支給されたものを履いている。金の使いみちといっても、送迎で乗る通訳の車のガソリン代ぐらいではないですか」(現地ジャーナリスト)
むしろ金に執着しなくとも、今後もこの活躍が続けば、金はいくらでもあとから付いてくるはずだ。
「スタジアムに張られた日本企業の広告を見ればわかりますが、大谷人気に乗っかりたい企業は山ほどある。グラウンドで稼げなくても、現在1億円を超えるCM価値だってさらに上がるはずです。しかも奴隷契約に関しても、一定以上の成績を収めた選手には最短で2年目のオフから年俸を上げる措置が取られる特例もある。奴隷契約はあくまで球団の権利であって、文句の付けようもない有望な選手に逃げられたくなければ、好条件を用意するでしょう。それこそ代理人の腕の見せどころとなりますが、保有期間の6年を待たずいきなりの10年契約など、上限はないとも言えます」(現地ジャーナリスト)
そのためにも、大谷には前人未到のスーパースターへと上り詰めてほしいものだ。もちろん、対戦相手の研究は進むだろうし、夏場になれば長距離移動で疲労がたまって調子を崩すこともあるだろう。
「それでも大谷は『スランプになったらどうするかです。今は相手が自分を理解していない段階だから』と冷静に分析して、不調になってからの事態も想定している。ソーシア監督(59)も、『ここまで準備を怠らない23歳はいないだろう』と大谷に信頼を寄せていますよ」(MLB関係者)
1918年、かのベーブ・ルースが記録した「13勝、11本塁打」の大記録に挑む大谷は金に目もくれず、どこまで突き進んでいくのか──。