では、根拠の乏しい基準値に振り回され、長期にわたって「毒」である薬を飲み続けた場合、どのような弊害が起こるのか。
「市販薬も含めていわゆる西洋薬というのは基本的に化学物質。しかも、原材料は企業秘密なので、明記されていません(笑)。そのため、不調を治すために飲んだ薬が、別の不調を作り出す可能性があるんです」
中でも、危険性が高いのが「抗○○薬」とか「○○阻害剤」「○○抑制剤」といった名前が付いている薬だ。
「これらの薬は体の酵素や神経伝達物質などの動きの一部をブロックすることで症状を止めたり、数値を下げますが、体のどこかに不具合があり症状に現れるのは、そこを自然治癒させようとして生じるもので、健康になるための必要な体内システムの働きなんです。それを無理やり止めるのは自然治癒力を奪うことになるんです」
人間の体は一つの細胞が分裂を繰り返してできたもの。薬として内服した化学物質は胃腸で吸収され、全身に行き渡るため、結果、悪くない臓器まで痛めつけてしまう場合があるという。
さらに、もう一つの問題が何種類もの薬を飲み続ける「多剤併用問題」だ。
「実際、私の診療所に来た患者さんで、一人の医師から24種類もの薬を処方されていた例があり、驚いたことがあります」
この医師がいったい何を考えてこれだけの薬を処方したかは定かではないが、ここまでではないにせよ、「血圧が高めです」と言っては降圧剤を出し、「コレステロールが高い」と言えばコレステロールの薬、「関節が痛い」と言えば鎮痛剤を処方する。で、最後には「薬の飲みすぎで胃が痛くなった? じゃあ胃の薬を出しましょう!」という笑い話のようなことが今、医療現場では平然と行われているのである。
その要因の一つが医療の細分化にある、と松田医師は指摘する。
「確かに医療が内科、外科、泌尿器科など専門分野に細分化されたことで、医療、医学が発展した一面はあります。ただ、その分、出される薬も増えてしまった。しかも副作用について無知な医師も多く、薬の飲み合わせについても知識は素人同然。それが患者さんの命を危険にさらしている。つまり、たくさんの薬を飲んでいる人は、高い薬代を払ってきわめて危険な人体実験に挑んでいるも同然なんです」